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世界共同体憲章試案(連載第3回)

2019-09-13 | 〆世界共同体憲章試案

第1章 目的

【第1条】

世界共同体の目的は、次のとおりである。

1.地球環境の生態学的な持続可能性を維持すること。そのために、地球環境に対する脅威の防止及び除去と地球環境の破壊の阻止のため有効な集団的措置をとること並びに地球環境の生態学的な持続可能性を確保するために有効な計画経済を地球的規模で実施すること。

2.全民族の同権に基礎を置く全民族間の協調関係を確立すること及び恒久平和を実現するために常備軍の廃止その他のあらゆる適切な施策を追求すること。

3.経済的、社会的、文化的または人道的性質を有する諸問題を解決することについて、並びにいかなる差別もなくすべての人のために人権及び基本的自由を尊重することについて、強制力を伴う民際協調を達成すること。

4.これらの共通の目的の達成に当たって、主権国家を廃し、全民族の行動を統合するための核心となること。

[注釈]
 本条は、前文の総括を受けて、世界共同体の設立目的を簡潔に箇条化したものである。  
 国際連合との大きな相違点は、地球環境の保全とそれに資する計画経済の実施が一等最初に掲げられていることである。国連が第二次大戦の後始末機関であったのに対し、世共はそうした戦争の後始末の段階を超え、危機にある地球環境を保全するべく、全民族のグローバルな統合を目指すことに力点があるからである。  
 また国連のような軍備の管理を通じた「安全保障」ではなく、そもそも軍備を持たない「恒久平和」が追求される点も異なる。そのために、地球規模での軍備の廃絶が目指される。人権と基本権に関しても、宣言的なものにとどまらず、強制力を伴う実効的な民際協調体制を確立することが目指される。  
 そうした共通目的の達成に当たって、世共は旧来の主権国家体制を廃し、全民族の行動を統合するために新たな民際体制として創設されるということである。

第2章 世界共同体の構制

【第2条】

1.世界共同体の全機構は、世界民衆が有する主権に基づいて構制される。

2.世界共同体は、主権を有する民衆が自治的に統治する領域圏及び汎域圏並びに直轄圏及び信託代行統治域圏によって構成される。

3.領域圏は、世界民衆会議‐世界共同体総会に代議員を送ることのできる最小の単位である。

4.近隣の領域圏は、12を超えない限度で、協約に基づいて、世界民衆会議‐世界共同体総会に原則として一名の代議員を送ることのできる合同領域圏を構成することができる。

5.汎域圏は、大陸または連関する島嶼を基準として諸領域圏を包摂する次の五つの大地域である。

汎アフリカ‐南大西洋域圏
汎アメリカ‐カリブ域圏
汎東方アジア‐オセアニア域圏
汎西方アジア‐インド洋域圏
汎ヨーロッパ‐シベリア域圏

6.汎域圏は、域内の経済的、社会的、文化的または人道的諸問題を協調して解決することを目的とする広域的な単位である。

7.直轄圏のうち、1000人以上の住民が永住しているものは、これを直轄自治圏とする。直轄自治圏は、前項の汎域圏のいずれにも属しないことを除けば、領域圏に準じた地位が与えられる。ただし、世界民衆会議‐世界共同体総会に固有の代議員を送ることはできない。

[注釈]  
 世界共同体は、主権国家ベースではなく、内政自主権を有する領域圏を基本単位として構成される国際機構ならぬ民際機構である。  
 領域圏は協約に基づいて任意に合同領域圏を形成することができるが、汎域圏の形成は義務的である。汎域圏は、世界共同体の執行機関に当たる全権代表者会議を選出する母体となる。直轄自治圏は、地理的または地政学的な理由から領域圏を形成できない小規模な地域に適用される。

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