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年頭雑感2019

2019-01-01 | 年頭雑感

この年頭雑感も今年でちょうど30回目を迎えた。当ブログ開設以前のものを読み返すと、主連載『共産論』で示した認識には全く到達しておらず、未熟で浅い考察が目立ち、現時点での考えとの明白な齟齬さえも見られるところであるが、筆者の30年来の思考の軌跡をたどる意味でも、恥を忍んで掲載している。

さて、昨年の漢字は、「災」であった。たしかに昨年は寒波に始まり、熱波、台風・ハリケーン、そして火山噴火など、世界中で年末まで様々な自然災害に見舞われた。しかし、このような地球規模での災害多発傾向は近年の常態であり、昨年に限ったことではない。

少なからぬ自然災害の要因と想定されている気候変動に関しては、昨年末ポーランドで開催されたCOP24会合で、産業革命以前と比べ、地球の気温上昇を2度未満に抑制することを2020年以降の目標とした2015年パリ協定の具体的ルール作りで合意した。

とはいえ、元来のパリ協定の目標設定が甘いうえに、2020年以降に先送り、人為的温室効果ガス排出ゼロは21世紀後半まで先送り―事実上の棚上げ―した二重の先送り施策でしかない。しかも、二大排出国の一つアメリカが2020年以降にパリ協定を脱退する段取りの中では、とうてい期待できる成果は上がらないだろう。

いずれにせよ、当ブログで折に触れて述べてきたように、地球を食い尽くすまで最大利潤を競争的に追求せんとする資本主義市場経済と地球環境の保護は根本的に両立しないのであるから、資本主義市場経済を絶対前提とするいかなる「環境対策」も付け焼刃でしかなく、その付け焼刃ですら、容易に折れてしまうだろう。

2010年代最終となる本年の時点で、人類が展望し得る主な選択肢は、三つである。

プランA
;環境より利潤を優先し、地球を食い尽くす

この選択肢は、資本主義市場経済の原理に最も忠実であり、野心的な資本家とその代理人政治家らが追求する道である。この選択肢は最終的に地球の滅亡へつながる道であるから、“その時”に備えて、映画さながらに他の惑星への選別的移住計画を必要とするだろう。

プランB
;環境保全の標語と甘い目標とを掲げ続ける

この選択肢は、環境保全を標榜しながら資本主義市場経済を温存せんとする諸勢力が行く道で、国際連合がその集団指導部である。この選択肢は、不可能を可能と信じる自己欺瞞―あるいは、不可能を知っている偽善か―に基づいているため、成果は上がらないだろう。

プランC
;環境保全を目的とする計画経済に転換する

この選択肢は、最も直截的かつ革命的であるがゆえに、明確にこれを志向する勢力は世界にまだ存在していない。この選択肢を採るには、一国レベルにとどまらない地球規模での根本的な社会革命を必要とするため、失敗リスクを伴う最も困難な道となるだろう。

現在のところ、人類はプランCを論外として思考から排除しつつ、プランAとプランBの間で揺れ動き、両勢力間で綱引きをしている状態であるが、このままではアメリカを味方につけたプランA勢力が最終勝者となるだろう。特に2020年米大統領選でトランプ再選となれば、その可能性は決定的となる。

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