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共産教育論(連載第30回)

2019-01-08 | 〆共産教育論

Ⅴ 職業導入教育

(4)障碍者職業教育
 前回まで見た基礎教育課程における職業導入教育のシステムは主として非障碍生徒を対象とする標準的なものであったが、職業導入教育は障碍生徒にも平等に提供される。
 貨幣経済が廃される共産主義社会の職業世界には能率至上の商業部門が存在しないため、全般的に職人仕事的なものが増えることにより、障碍者にも比較的働きやすいものとなるであろう。とはいえ、障碍の内容・程度によっては就労への障壁が高く、非障害生徒とは異なる対応が必要となる。
 その点、身体・感覚障碍者で程度も軽い場合は、非障碍生徒にほぼ準じたプログラムの適用が可能であるが、身体・感覚障碍の程度が重い場合や、知的障碍者の場合は特別なプログラムが必要となる。
 これらの場合は、就労に必要な身体的・感覚的・知的な能力の開発訓練が不可欠であり、そうした就労能力開発のプログラムがまずは提供される。これには、教員のほかに、理学療法士や言語療法士といった医療系専門スタッフの参加も不可欠である。
 そうした初動プログラムを前提に、労働理解や職場見学、さらにはインターンシップといった職業導入教育の標準的プログラムが提供されることになるが、インターンシップを開始する前に、障碍の内容と程度を改めて総合考慮した科学的な評価を実施する必要がある。
 身体障碍者で程度も軽い場合は、非障碍者に準じ、三分野自由選択式のインターンシップの適用が可能であるが、程度が重い場合や、知的障碍者の場合は科学的な評価に基づき、適切な職域を一つに特定する必要が高くなるだろう。
 インターンシップの仕組みは標準的なものと本質的に相違ないが、その評価はよりきめ細かく行なわれる。そのうえで、職業紹介所と連携し、障碍者雇用の模範事業所への就職に結びつけることになる。
 職業紹介所には障碍者雇用の専門相談員が配置され、職業導入教育とも密接に連携し、科学的な判定に基づき、適職を配分するという役割は、障碍者雇用に関してはいっそう明瞭なものとなる。

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