ザ・コミュニスト

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リベラリストとの対話―「自由な共産主義」をめぐって―(22)

2015-05-23 | 〆リベラリストとの対話

20:非暴力平和革命について③

コミュニスト:前回、私の提唱する過渡期の体制―移行期集中制―がレーニン流プロレタリアート独裁に類似しているとのご指摘を受けました。これについては「プロレタリアート独裁との違い」という小見出しのもとに、説明をしたつもりなのですが。

リベラリスト:読みました。「より厳格に移行期に限定しての短期的な政令統治」とまとめられていますね。ですが、期間を厳格に区切るといっても明確に何年と示さないならば、「移行期集中制」が遷延して一党独裁的な体制が出現する可能性はあります。

コミュニスト:事の性質上、何年という確定数値を示すことはできませんが、5年以内という目安は示しています。要するに、出来るだけ早く終わらせるということです。しかも、不完全とはいえ、代議機関としての民衆会議は存在しますから、完全な執行権独裁とは違うのです。

リベラリスト:しかし、革命委員会という革命指導機関が全権を掌握する体制を基本とし、緊急政令のような強大な立法権も持つわけですから、相当な権力集中体制となるでしょう。

コミュニスト:体制の枠組みを維持したままの「改革」ではなく、社会を根本から変革する「革命」を完遂するには、実際的に考えて、ある程度の集中体制が必要であるということは否定できないのではないでしょうか。

リベラリスト:たしかに、貨幣経済システムそのものの廃止にまで進もうというあなたの革命事業を完遂するには、実際的に考えて、大変な独裁権力を必要とするでしょうね。巨大な反対運動に直面する可能性が大ですから。挑発的な言い方になりますが、遠慮せず、あなた個人が「偉大なる領導者」として全権を掌握する徹底した独裁政治を期間限定でお考えになってはいかがですか。

コミュニスト:それはあり得ません。真の共産主義革命は、全世界・地球規模での連続革命として完遂されるものですから、個人独裁はやろうとしても無理なのです。

リベラリスト:貨幣経済廃止には私のようなリベラリストも反対運動に身を投じるでしょうが、これに対して、警察的な抑圧は一切加えないのですか。

コミュニスト:KGBのような秘密警察機関は設立されませんから、ご安心ください。ただし、反対運動という名目での犯罪的な諸活動が警察的に取り締まられることは当然です。

リベラリスト:一方で、あなたは「反革命活動への関与が疑われる団体や個人に対する情報収集・動静監視及び対抗的抗議活動、場合により捜査機関への告発を行う、警察権限を持たない非権力的な組織」として、革命防衛連絡会なる組織を設立するとされていますよね。これは、民間団体の形で、警察法などの法規を超え自由自在に活動できる巧妙な秘密警察組織だと思うのですが。

コミュニスト:革防連は正規の警察とは異なる民間組織ではありますが、超法規的活動が許されるものではなく、当然各種法規を遵守しなければなりません。革防連は警察のような強制権力は持たないのですから、基本的人権を守りつつ、革命防衛の役割を果たすという意味で「巧妙な」組織なのです。

リベラリスト:そうですか。いずれにせよ、革命という政治行動は多数派の世論に反して少数派がその理念や政策を強制実施するという点において、本質的に非民主的なものです。それが正当化されるのは、よほど既存社会が崩壊危機に瀕しているような場合に限られるというのが私の考えです。

コミュニスト:その点、私も「革命のタイミング」という視点から論じております。タイミングを早まった革命はたしかに少数派による冒険主義的な政治行動となりますが、時宜にかなった革命はむしろ民衆総体での民主的な社会変革事業になるのです。

リベラリスト:その点、あなたはいわゆる連続革命論者でもあるわけですが、全世界で共産主義革命が短期間で継起するとされる連続革命は私には空想、と言って悪ければ机上論のように思えてきます。反論等おありでしょうから、次回討論しましょう。

※本記事は、架空の対談によって構成されています。

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