MOVIE KINGDOM Ⅱ

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ポイントは★~★★★★★★

思い出名画座 Vol.1 「南街会館」 (大阪 ミナミ)

2007-01-30 00:33:01 | 映画館
映画館・・・という言葉の響きが最近懐かしく感じてきましたね。
最近はシネマコンプレックス=シネコンという形態が増え、一箇所で沢山の映画が上映されて、好きな作品を選んで見れるという何とも便利な時代になりました。
大抵は大型のスーパーやショッピングモールなど複合施設として併設されてる場合が多いので映画の合間に買い物や、あるいは買い物のついでに映画を見たりと気軽に映画を見れる環境があちらこちらに出来ました。

しかも割りと地方なんかにそう言う施設が多く出来てるので、今までわざわざ郊外から大都市まで見に来ていた方々にとっては近場で沢山の映画が見れるようになり、映画が一層身近なものになりましたね。
何よりも清潔だし、設備も整っているので安心した環境で子供からお年寄りまで鑑賞できるのがいいですね。

しかし、その反面昔からある老舗の劇場や名画座が大手シネコンの進出により閉館に追い込まれてるのも事実で個人的に寂しい限りです。
たしかに最新設備のシネコンと比べると通路は狭いし、椅子の座り心地も悪い(劇場によっては不潔で臭い・・・)かもしれないけど劇場の大スクリーンで映画を見るという独特の快感が段々と味わえなくなりつつあるのは残念ですね(シネコンでもスクリーン大きいけど、大劇場の巨大スクリーンの迫力はシネコンでは味わえない)
そんな思いでせめて私が子供の頃からある意味お世話になった{映画館}や今だ頑張ってる映画館を記事としてここに思い出を書き残そうと思って「思い出名画座」のカテゴリーを立ち上げました。
そしてその第1回として思いで深い大阪はミナミの大劇場である南街劇場をメインとした今は無き「南街会館」から紹介したいと思います。

そもそもここは日本で初めて映画興行が行われた場所で、1897年2月15日に映画と言うものが初めて日本でこの南街会館のある場所で公開されたそうです。
1階の南街劇場の入り口横にその事に付いて記載された「映画興行発祥の地」をうたう碑文のプレートがありました(後に知ったんですがね)



地下に「なんば東宝」1階に「南街劇場」3階「南街シネマ」6階「南街スカラ座」と「南街文化」と5つ入る南街会館(晩年は南街シネマプレックスと名称が変わったが)ですが何といってもメインは1階の南街劇場でした。



私が子供の頃当時は大阪キタには北野劇場とOS劇場(シネラマを売りにしてた全席指定と言う私には特別な劇場と言う印象・・・2回しか行ったことなし)と言う代表的な大劇場があり、ミナミには今は歌舞伎や芝居を上演してる松竹座、唯一今でも頑張ってる千日前国際劇場、そしてこの南街劇場がミナミ地区の代表的な劇場でしたね。

その南街劇場ですが、私が子供の頃は2階席もあり、1000人以上のキャパを誇るまさに大劇場でした(うろ覚えで自信無いけど3階もあったかな?) 後に改装され1階のみになりましたが(1階と2階が分断され2階席が別の劇場になった!)それでも900人程のオオバコでしたよ。
そして何よりもスクリーンがデカイ!半端なスケールではなかったですね。
これぞ大劇場の大画面でしたね。前方の座席で見ようもんなら視界からスクリーンがハミ出したもんでしたよ・・・さすがに設備の整ったシネコンでもこの大画面は無理だと思いますね。



子供の頃から大作はココで見るようにしていました。
記憶を辿ればここで初めて見た映画はたしか戦争超大作「ミッドウェイ」ではないかと思いますが、超立体音響センサラウンド方式という上映で迫力ある大画面と大音量で当時小学生だった私の映画魂に火を着けるのには充分でしたよ~

それ以後ここの劇場では色々な映画を見ました。
最初の「スターウォーズ」が公開された時の地下の商店街まで伸びた長蛇の行列も凄かったし「地獄の黙示録」のドルビーステレオの迫力に圧倒され(ヘリのプロペラの豪音とワルキューレが頭上でこだました時の感動は今でも覚えてます)、生まれて初めてオールナイト興業を見に行った「オーメン」もここの先行オールナイトだったな・・・
またあの大画面でマイナーなB級映画「ドッグ」とか「テンタクルズ」や残酷ドキュメンタリー「グレートハンティング」なんかもやってました。

大人になっても大作はココでと決めてたので「エイリアン2」「バック・トゥ・ザ・フューチャー」「ロストワールド」「アルマゲドン」etc・・・ 「タイムライン」を持って閉館になるまで数多くの映画を体験させてもらいました。

南街劇場と比べると他の劇場は小さく感じますが それぞれ思い出深いですね。
地下の「なんば東宝」は東宝系の邦画専門劇場で百恵友和のシリーズや東宝チャンピオン祭り、金田一耕介シリーズなど物心ついた私は良く見に行った思い出がありますね。
「犬神家の一族」の時などは満員で立ち見の人で溢れかえりドアが開いたままで外からスクリーンが見えたもんでしたよ~



後に改装に伴い南街劇場の二階席を改造してそちらに移転し「南街東宝」として新たにオープンしましたね。
何分に元々は二階席だった為急斜面なスタジアムのような座席だったんで場所に寄ると見にくい席がありましたが今となっては良き思い出ですね。

三階の「南街シネマ」は聞く所に寄ると昔はストリップを上演してたとか・・・?
たしかに横に広く二階席もあって他の劇場とは構造が少し違いましたがね。
思えば南街会館で初めて映画を見たのがこの劇場でしたね。
たしか「ダンボ」だったかな・・・兄に連れて来てもらった記憶があります。

ここでは「ルパン三世」「カタストロフィー世界の大惨事」「ピラニア」T・バートン版「猿の惑星」「エイリアン」などなど、どちかと言うとB級映画を中心とした作品が比較的多かったイメージがありますね。
いつもここで鑑賞する時は二階席で見る時が多かったですね。
空いてるのでリラックスして見れましたからね(何となく妖しげな空間だったが・・・)

六階に二館あり、その一つ「南街スカラ座」は南街劇場の次に座席数が多い劇場でした。
ここでは南街劇場同様に洋画の大作が結構上映されてましたね。
しかし席が多い割にスクリーンが小さいのが玉に傷で、私の感覚では前列の5列目あたりが一番見易かったと思います。
それほど館内の大きさに比べスクリーンが小さく奥まってたように思います。
「タイタニック」の先行オールナイトがこの劇場と聞いて見に行くのを辞めた事もあったなぁ~



大作からB級、はたまた昔は女性映画(女性を主人公にした映画や恋愛物は昔そう呼ばれてたね)など幅広いジャンルの作品が上映されてました。
ここで印象的なのはブルースリーの「死亡遊戯」が上映されたとき、当時は各劇場入り口に入場券を売っていたんですが、「死亡遊戯」の券を求めて六階から一階まで階段に行列が出来てたこと・・・あれは凄かったな~

その隣にある「南街文化劇場」は南街会館では一番小さい劇場で割りと小作品が上映されてたけど、「ロッキー大会」とか二本立ての名画座的な扱いにされたり、南街劇場などで公開されてた大作が次回作の都合でこの劇場に回されたりと何かと便利に使われてたようでした。



2004年2月に閉館となりましたが 最後に見た映画は南街劇場の「タイムライン」で パンフの表紙には「南街会館 ありがとう、映画のような50年」と記されていて 限定数だったらしく私が買った時には最後の一部でしたよ・・・

閉館記念のイベントで浜村淳のトークショーや 「七人の侍」や「アラビアのロレンス」「ベンハー」などのワンコインでの名作上映などを開催してましたが、見に行けなかったのが心残りだったな~



現在はなんばマルイとして全く新しい商業施設として昨年秋にオープンしましたが、その中にTOHOシネマズなんばとして9スクリーンのシネコンとして再び大阪ミナミ地区の映画を盛り上げてくれてます。

形は違えどまた新しい歴史と伝統が生まれて行くことでしょう・・・ TOHOシネマズなんば直行の1階エレベーター横にある、かつて南街劇場の入り口にあった「映画興業発祥の地」をうたう碑文のプレートが今でも燦然と輝いている限りはね