黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

本なお茶会・その27@真昼造船

2013-10-27 | おでかけ
 今回の課題本は、吉田篤弘さんの『水晶萬年筆』。
 参加者は4名でした。わたしは歯の治療のため、ちょっと遅刻…;
 単行本版である『十字路のあるところ』と読み合わせしつつ、変更されてる場所を確認したり、言葉の法則の不思議についてあれこれお話ししました。

 デザートはトゥジュールさんのいちじくのタルト。


『白戸修の逃亡』大倉崇裕(双葉社)

2013-10-24 | 読了本(小説、エッセイ等)
何故か東京の中野区に足を踏み入れると、途端に事件に巻き込まる宿命を背負っている白戸修。
勤め先の出版社・世界堂出版が出している「季刊防災世界」への原稿の関係で、防災の専門家である京成大学工学部先端防災工学研究所付き・聖田良男准教授のお供としてやむを得ず中野区へやってきた白戸。
ふたりで入った喫茶店で、突然聖田は大事なはずのスマホを置いたまま、店外に飛び出してしまった上に、突然謎の男に拘束された白戸。やむをえず、彼の言うとおり服装を交換したのだが、それからというもの白戸を松崎という人物と勘違いした不特定多数の人間に追われるはめになってしまう。
そこへ助けにやってきたのは、何でも屋の日比登。曰く、松崎は大規模なイベント「メガトンコミックフェスタ」の会場に爆破予告をし、イベントを中止に追い込んだ人物であるらしい。勘違いされたまま逃げ回る白戸は、これまで関わった人々に助けられながらスマホを渡すべく聖田の行方を探すが……

シリーズ第3弾。今回は長編。
例によって中野区で事件に巻き込まれてる白戸くんですが、今回はこれまで出てきたヒトたちが総出で助けてくれてます(笑)。ある意味、中野区における人運は最強な気も(笑)。

<13/10/24>

『てんとろり』笹井宏之(書肆侃侃房)

2013-10-23 | 読了本(小説、エッセイ等)
ああそれが答えであった 水田に映るまったいらな空の青
雨のことばかりがのっている辞書を六月のひなたに置いてみる
はじまりのことばがゆびのあいだからひとひらの雪のように落ちた
うつくしいみずのこぼれる左目と遠くの森を見つめる右目
雪であることをわすれているようなゆきだるまからもらうてぶくろ
しあきたし、ぜつぼうごっこはやめにしておとといからの食器を洗う
世界って貝殻ですか 海ですか それとも遠い三叉路ですか
ゆびさきのきれいなひとにふれられて名前をなくす花びらがある
ここちよい虚構 あなたが包帯のかわりに猫をまく春の夜の
さようならが機能しなくなりました あなたが雪であったばかりに

第二歌集であり、笹井さんが亡くなられた後に出された遺歌集。
全体的にひらがな多めの歌が多い所為か、受ける印象がやわらかで、透明感を感じます。

<13/10/23>

『かたすみさがし』田中ましろ(書肆侃侃房)

2013-10-22 | 読了本(小説、エッセイ等)
ひとすじの雨になりたいまっすぐにあなたに落ちていくためだけの
いちばんの自分の敵は自分だしあなたは敵というか、素敵だ
新雪をためらわず踏むあなたには見えない朝のかたすみに立つ
心臓を守るかたちに丸まってあなたは涙そのものになる
冬の日の死に近づいた人の目にひかりを入れる医師のゆびさき
ゆるやかな好きに支配された部屋で夜が明けるまでジェンガをしよう
ていねいにすじを取られる絹さやに正しさばかり求めてしまう
一回のオモテの妻の攻撃がもう三時間続いています
3階の窓から空に向け飛ばす輪ゴム 神さま僕はここだよ
探しもの見つけたように秋のあさ 書架の隙間に手を差し入れる

新鋭短歌シリーズ。
広告業界に身を置く方だけに、見せ方というか言葉のアピールが上手いなぁと感じます。
お父さんの闘病の際の連作が切ないですね。

<13/10/22>

『ユニコーン ジョルジュ・サンドの遺言』原田マハ(NHK出版)

2013-10-21 | 読了本(小説、エッセイ等)
1876年6月10日。フランス・ノアン。エドモン・デュ・ソムールは、長年交流のあったジョルジュ・サンドが危篤だという知らせを受けて駆け付けたものの、時すでに遅く彼女の葬儀の只中であった。
三ヶ月前。どうしても話しておきたいことがあるという手紙を彼女から受け取っていたソムラール。人生の最後の私の唯一の望みをあなたに託したいと言っていた。
1837年。既に作家として作品を発表していたジョルジュ。夫と別れ、息子のモーリスと娘のソランジュを連れた彼女は、名門貴族の最後の令嬢であるブサックの女城主ポーリーヌ・ド・カルボニエールの招きを受け、しばらく古城に滞在することに。
そこに飾られていた、貴婦人と一角獣の美しいタピスリーに魅入られるが……“ユニコーン ジョルジュ・サンドの遺言”、
他、ジョルジュ・サンドの著作より「マルシュ地方とベリー地方の片隅」「戦争中のある旅行者の日記」を収録。

実在するうつくしいタピスリー『貴婦人と一角獣』と作家ジョルジュ・サンドのお話と、ジョルジュ・サンドの著作よりそれに触れた作品を収録。タピスリーのグラビアが満載でうつくしいです。
かなり薄い上に、謎なまま終わったので??という感じでしたが、どうやら長編の序章のようで(笑)。
これからどうなるのか気になります~。

<13/10/21>

『こけし 乙女の玉手箱シリーズ』やまもとゆみ:監修(グラフィック社)

2013-10-20 | 読了本(小説、エッセイ等)
東北各地のいろんなこけし…地域や工人によるこけしの特色をグラビア付きで紹介しつつ、こけしグッズ、こけしにまつわる観光地などこけしのいろいろを紹介した一冊。

こけし好きな着物作家のやまもとゆみさん監修のこけし本。
乙女の玉手箱シリーズの中の一冊ということもあり、まさに乙女向け(笑)。
グラビア満載で読みやすくかわいらしい本でした。

<13/10/20>

『うかんむりのこども』吉田篤弘(筑摩書房)

2013-10-19 | 読了本(小説、エッセイ等)

『始』という漢字は、女が台に寄り添っている。人に限らず、生まれ出てきたすべての物事に字が与えられ、あざなで呼ばれたものは、うかんむりのこどもである……「始まり始まり」、
自称することば。『私』『僕』『俺』について……「わたくし」、
門という字の前に立ってかんがえる。門構えの字あれこれ……「門前にて」、
文字を買おうと銀座九丁目の<もんじや>に出かける……「文字を買う」等、文字にまつわる二十四のエッセイ。

漢字の「つくり」からのアプローチで文字の本質に迫ったりあれこれ想像をめぐらす感じが楽しいですね。
本の形が変形の横型なのが素敵v

<13/10/19>

『アリス殺し』小林泰三(東京創元社)

2013-10-18 | 読了本(小説、エッセイ等)
大学に通う院生・栗栖川亜理は、最近不思議の国に迷い込んだアリスの夢ばかり見ている。
そんなある日、ハンプティ・ダンプティの墜落死に遭遇する夢を見た後に大学に行ってみると、キャンパスの屋上から玉子という綽名の博士研究員が墜落死を遂げていた。さらに続けて見た夢の中で、今度はグリフォンが生牡蠣を喉に詰まらせて窒息死すると、現実でも牡蠣を食べた教授が急死。
亜理と同じ世界の夢を見ているらしい同じ大学に通う青年・井森によれば、夢の世界のアーヴァタール(仮の姿)と現実世界は繋がっており、片方の世界で死んだ者はもう片方の世界でも死んでしまうらしい。
夢の世界では白兎が現場からアリスが立ち去ったと証言したことから容疑者にされてしまったアリス。その疑いを晴らすべく、事件について、そして同じように夢を見ている人間について調べ始める亜理たちだったが……

アリスのナンセンス要素がふんだんに取り込まれているミステリ。
その世界をうまく取り入れたトリックがおもしろいですが、ややグロい(笑)。

<13/10/17,18>