黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『たぶんねこ』畠中恵(新潮社)

2013-10-02 | 読了本(小説、エッセイ等)
いつも寝込みがちな、廻船問屋兼薬種問屋長崎屋の若だんな・一太郎は、このところ体調も順調。
年も改まったある日。江戸通町周辺の大店の商人たちに跡取りとしてようやくお披露目された一太郎は、同様にその場で紹介された若者たちふたり…塗物問屋武蔵屋の跡取り幸七と、煙管問屋松田屋の息子小一郎…と顔を合わせる。
ひょんなことから三人で両国の盛り場で仕事を探し、自分一人の力で誰が一番お金を稼ぐことができるのか勝負することになってしまった若だんな。
盛り場を取り仕切る大貞親分の家に居候して、職探しからはじめるがなかなかうまくいかない。
やがて、幸七は見世物小屋の客引き、小一郎は武家の娘の人探し。一太郎は菓子を売るという商売を見つけるが……“跡取り三人”、
母おたえのつてで、十四歳の娘於こんが行儀見習いのために長崎屋にやってきた。しかしわがままな上、年頃なのに家事が何一つできず、教育係のおてつの叱られてばかり。
そんなある日、長崎屋に先日世話になった大貞親分の片腕・富松がやってきた。
先の一件で味をしめた大貞の思いつきにより仲人をすることになったのだが、思うように礼金が取れず、若だんなに相談に来たのだった。
結局笹川という金に困った御家人と、持参金をたくさん用意しているという本所の料理屋の娘お尚の見合い話が決まる。
そこへ河童の大親分禰々子がやってきて、手下の妹・お志奈の縁組を紹介して欲しいとやってきた。さらに逃げ出したい於こんまでが口を挟み出し、断るきっかけを失ったまま引き受けることに。
そして迎えた当日……“こいさがし”、
栄吉が修行先の安野屋の使いとして砂糖を仕入れにやってきた。一緒に連れてきた平太にはほとほと手を焼いている様子。
曰く、ひとくせある三人の小僧たち…平太と、大きな箱屋橋田屋の三男坊梅五郎と、口下手な表具師の息子文助…をあらたに雇い入れたのだが、その矢先主人と番頭二人が臥せってしまい、大童であるらしい。
平太は妖たちが悪口を言っているのが聞こえてしまい、売り物の高価な砂糖を投げつけた上捨て台詞を吐いて、逃亡。やむをえず、栄吉は彼を追って店を後にしたのだが、その後、妖たちが栄吉の行李に入って安野屋について行ってしまったことが判明。
店のお菓子を食べつくしてしまうのではと心配した若だんなたちは、安野屋へ向かうが……“くたびれ砂糖”、
川に落ちたらしく、怪我をした男。おまけに記憶を失っており、自分が誰かもわからないが謎の「若だんな」のことが口をついて出たりする。そんな彼は、よく効く薬を持っていたことから医者に間違われて、病んでいる老人を診て欲しいと引合されてしまう。老人は自分が妖だという古松。どうやら男の正体も知っていて、余命いくばくもない古松からあることを頼まれるが……“みどりのたま”、
神の庭から見越の入道が幽霊の月丸を連れて長崎屋にやってきた。古松とは逆に、しばらく神の庭にいた月丸は江戸へ戻りたいと望んでいるという。入道は力の弱い月丸が江戸で暮らしていけるのかを確認するためにお預かったのだというが、その話の最中、ひょんなことから月丸の入っていた巾着に若だんなが吸い込まれてしまう。
月丸と一緒に江戸の夜の町へ飛ばされた若だんな。月丸からなぜ江戸で暮らしたいのかを聞く中で、首玉に血をつけた猫を見つけてしまう……“たぶんねこ”の5編収録。

シリーズ。
久々に若だんなの調子が良いと思ったらやっぱり寝込む羽目になったりするのは、もはやお約束(笑)。
今回、ちょっとイラッとする子が満載なのが、何とも;

<13/10/2>