黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『蟋蟀(こおろぎ)』栗田有起(筑摩書店)

2008-09-25 | 読了本(小説、エッセイ等)
“わたし”の一族には、女性のみに備わっている特技がある。それは、手を触れた人の人生が見えるというもの。その能力を利用し、占い師になったわたしだったのだが、高校の同級生・原田雅信に恋をして、その関係に思い悩む。そんなある日、全盲の女性が現れて……『サラブレッド』、
派遣会社から秘書を雇った大学教授の“僕”。優秀な彼女・木村京子にいつしか恋をして、食事に一緒に出かけたが、酔った彼女は謎の行動をとる。その後彼女は、部屋に水槽を持ち込み……『あほろーとる』、
元夫・鮫島から、父が入院した為、実家にいって欲しいと頼まれた“私”。
25歳のときに彼と結婚し、3年後に離婚、それから2年目の春を迎えていた。彼は、男性の肉体を持った女性。女性に興味を持つことのできない性癖で、それを判った上で、当時余命いくばくもない彼の母を安心させるために結婚したのだが、やがてわたしに恋人ができ……『鮫島夫人』、
夫の栄転で、社宅のマンションに引っ越した“私”田村夫人。このところ、夫が猫嫌いだというのに、家には猫がたびたび顔を出す。その猫を追っ払うのに夢中な私は、その手助けになればと、会社の奥様たちのサークルのひとつである“猫語教室”に入るのだが……『猫語教室』、
パパに恋人がいるみたいなの、とママはいった。財布に裸の女の子と一緒に写っている写真が入っていたという。亜樹のパパは、これまでもたびたび浮気をしていたが、今回の相手は亜樹の友人・チカだった……『蛇口』、
研二の幼なじみの杏子が、出産の為に実家に戻ってくるという。彼女が妊娠したと知ったときから何故か興奮し、熱狂しつつ、心待ちにしている母。そんな中、真向かいに住む彼女の元に、毎日のように遊びに行くことになった研二。彼女はアリクイの下半身柄のチョッキを着ていたが、上半身は……『アリクイ』、
同じ職場で働く広和とつきあい始めた“私”。一年近く関係を続けたある日、彼の部屋を訪れた私は、ひとりの女性に出会う。彼女は彼の婚約者で、来月結婚式だという。美人でもスタイルがよいわけでもない私だが、むかしからこの手のトラブルが多く、それに嫌気がさして、死を決意。人に迷惑のかからない方法をあれこれ考えた末、雷に打たれようと、山へと向かう。そこに不思議な生きものが現れ……『さるのこしかけ』、
容貌の醜さゆえに、さまざまな迫害に遭い、ついには睡眠薬で自殺を図った朱美。ベッドに寝ている彼女を覗き込む兄もまたそっくりの容貌。そんなある時、病室に美しい女性が現れ、彼女のこれまでの人生を見ていたかのように語る……『いのしし年』、
つきあっていた女性・今日子から妊娠を告げられた田宮修。それから半月ばかりが過ぎ、彼は大切な女性・タマコに電話をする……彼女は、彼を育ててくれた祖母で、腰骨に蟋蟀の刺青を入れていた……『蟋蟀』、
私のなかには馬がいる。妹のなかには象が、美奈子のなかにはバッファローが、ひろみのなかには熊が……そんな風に、人を見ると、その人の中にいる動物が見える“私”。美術大学を卒業後、デザイン事務所に就職。やがて恋に落ちたが……『ユニコーン』の10編収録の短編集。

最初は気づかなかったのですが、タイトルは生き物つながりなのですね~。
どれも予測不可能な展開で、ちょっと不思議な余韻のあるお話ばかりです。

<08/9/25>


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