黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『雲をつかむ話』多和田葉子(講談社)

2014-04-03 | 読了本(小説、エッセイ等)
ドイツのベルリンに暮らす、日本人作家である「わたし」。
1987年、自宅で販売している自作の本を買いに来た男の応対したが、包装し終えたときには既に彼の姿は消えていた。後に、彼から手紙が届き、自分は殺人をおかした犯罪者であり、当時逃走中であったことが綴られていた。その後、刑務所から外出許可を貰った彼が「わたし」に会いにくるも不在で、会えないままとなる。彼の名は、フライムートだという。
かつて犯罪をおかしたことのある詩人Zとの邂逅、かつて文学祭で訪れた地で宿舎とした老人ホームに関わる牧師とその妻の事件、家元制度に反対し切りつけた「マボロシ」さんのこと、「わたし」の作品の舞台化に関わった俳優の双子のかたわれの無賃乗車運動のこと……さまざまな自分を取り巻く犯罪についてあれこれ意識しはじめる「わたし」だったが……

ひとりの犯罪者との出会いをきっかけとしてが、「犯罪をおかす人」というものについて意識を向けるようになったドイツ在住日本人女性作家、そして彼女が遭遇するひとびとのお話。
夢と現実が交錯しつつ、どこか茫洋としたような文字通り「雲をつかむ」ような手触りの作品でした。

<14/4/1~3>


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