黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『ラン』森絵都(理論社)

2008-09-24 | 読了本(小説、エッセイ等)
13歳の時、両親と弟・修を交通事故で亡くし、その後引き取られた奈々美おばさんも2年前に病気で亡くし、天涯孤独の身の上である、22歳の夏目環。
大学も中退し、フリーターとしてスーパーで働きながらも他人と関わりを持とうとはせず、後ろ向きな思考を繰り返す日々。
そんな中で知り合った自転車屋の主人・紺野とその飼い猫・こよみが、唯一の心の拠り所となるが、ふとしたことから彼も環同様、妻・りん子や息子・大紀という身近な人たちを亡くしていたことを知る。
ところが、こよみが亡くなったのを機に、紺野は郷里である山形へ帰るといい、その餞別として大紀の13歳の誕生日にプレゼントするはずだった自転車・モナミ1号をプレゼントされる。
ある日、その自転車に乗っていた環は、何かに導かれるように走り続け、ある場所へとたどり着く。そこにいたのは、既に亡くなったはずの家族たち。彼女が走ってきたのは、“レーン”と呼ばれる冥界と下界を繋ぐ道で、その後たびたび訪れては、そこで家族たちと過ごすようになる。
ところがそれにより自転車に執着する大紀が、次のステージへ上がれずにいることを知り、彼に返すことを決意。
だがそれでは家族に会えなくなってしまうことから、自分でその距離……40kmを走ることに。それも日没から日付が替わるまでの間に。
運動音痴な彼女は練習を始めるが、遅々として進まない。そんなある日、怪しげな男性・ドコロさんに遭遇、素人マラソンサークル・イージーランナーズに誘われる。そのメンバーは、会社を早期退職した男性・藤見孝一、太めの青年・幡山慎太、方向音痴なウェイターの青年・大島尚良、水商売で働く女性・緑山清花、貧血気味で傍で見ているだけのドコロさんの姪・木処優菜、と年齢も状況もさまざまな人たち。
そこへ環の天敵ともいえるパートのおばさん・真知栄子も加入して……

ファンタジックで、スポ根テイストな成長物語。かつ、ちょっと恋愛風味(笑)。
厚めな割にはさくさく読めますが、もうちょっとコンパクトでも良かったかなぁという気がしなくもなかったり…。

<08/9/24>




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