黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

† 新刊情報(13/04) †

2013-04-30 | 新刊情報
<4月>
4/10
コニー・ウィリス『オールクリア 1』早川書房(新☆ハヤカワ・SF・シリーズ) 

4/11
有栖川有栖『幻坂』メディアファクトリー

4/12
小川糸『リボン』ポプラ社

小川糸『つばさのおくりもの』ポプラ社

4/18
宮木あや子『あまいゆびさき』一迅社

4/20
吉田篤弘『イッタイゼンタイ』徳間書店 

4/22
近藤史恵『キアズマ』新潮社 

4/25
森博嗣『スカル・ブレーカ The Skull Breaker』中央公論新社 

4/26
小路幸也『フロム・ミー・トゥ・ユー 東京バンドワゴン』集英社 



『幻坂』有栖川有栖(メディアファクトリー)

2013-04-30 | 読了本(小説、エッセイ等)
大阪にある天王寺七坂のひとつである清水坂。
いまから五十年以上も前、わたしが十歳くらいの時のこと。わたしは、しっかり者の岳郎といちびりのオサム、そして岳郎の三つ下の妹・比奈子とよく遊んでいた。
その後、家庭の事情で岳郎兄妹は引っ越したが……“清水坂”、
作家の青柳慧は愛染祭りの最中、自分のファンだという女性と愛染坂で出会う。
その後、文学学校から依頼されて講演に出かけた慧は、件の女性・久石美咲と再会する。彼女はその後作家としてデビュー。二人は東京で一緒に暮らしていたが……“愛染坂”、
売れっ子デザイナー・鵜戸美弥子の逗子の別荘で開かれたパーティに出かけたわたし(河合樹)は、廊下にかけられた絵を見て足を止めた。そこに描かれていたのは、自分が少女時代を過ごした、大阪の源聖寺坂を描いたものだったからだ。
その夜、子供の幽霊を見たというものが現れたが……“源聖寺坂”、
猫好きな美季は、友人の里緒から猫がたくさんいる口縄坂を教えてもらう。その場所を気に入った美季は、そこにいるという十五匹の猫たちに会おうと、たびたび出かけるように。
そこには、真っ白で天使のような雄猫がいるというのだが……“口縄坂”、
わたし(絹江)が十九の夏に、出版社の使い走りのバイトをしていた時に、知り合った彼。
8つ上のフリーランスのライターだった。兄のように思っていて、いろんなことを相談していたのだが、それが遠因となって亡くなってしまう。その後、たびたび彼の幻に出会うようになり……“真言坂”、
心霊現象専門の私立探偵・濱地健三郎は、女性の幽霊を天神坂の割烹・安居で饗す。美味しい食べ物を出すその店で、彼女からさまざまな話を聞く……“天神坂”、
劇団黒水仙に所属するおれ。今度やることになっている舞台はしんとく丸を元にした<俊徳丸>だが、その出来に不満を持っていた。そんなおれには、この世のものでない物が見えるのだが、会いたいと願っている妹のように思っていたひとみには会うことができず……“逢坂”、
門弟の酒堂と之道の諍いを鎮める為、大阪にやってきた芭蕉翁。
この世のものではないあやかしのようなものを見て……“枯野”、
建長八年。従七位下のさる男が熊野詣へ出立した。主君に乞われての代参だった。
その途中、従二位の歌人の藤原朝臣家隆が最後に移り住んだ草庵・夕陽庵に立ち寄った。そこで二十年近く前、家隆に仕えていたという老爺に出会い、話を聞く……“夕陽庵”の9編。

大阪の天王寺七坂を舞台とした幻想短編集。後ろ2編は現代ではなく、過去。
『幽』で連載されていたというだけあり、幽霊が出てきますがそう怖くはなく、切なくも美しいお話ばかり。

<13/4/29,30>