黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『婚外恋愛に似たもの』宮木あや子(光文社)

2012-11-24 | 読了本(小説、エッセイ等)
美人で、勉強も仕事もできたが、何ごとにおいても三番目の位置に甘んじる人生を送ってきた、桜井美佐代。
テレビ局に勤める夫・修一郎と結婚して七年経つが、子供はいない。検査して美佐代側には何の問題がないことは明らかだが、修一郎には検査させようとしない姑。多くの愛人がいる夫は、64人組高校生アイドルユニットKGB64に夢中。
そんな彼女の心の支えは、ディッセンバーズのデビュー前の男性アイドルユニット『スノーホワイツ』の、みらきゅんこと神田みらいだった。
ところが夫は、KGB64の<さなちゃん>に枕営業され、彼女をマンションに住まわせる為に美佐代に出ていけと言い出して
……“アヒルは見た目が10割”、
二十歳で母になり、現在三十五歳の主婦・益子昌子。
騙されやすい夫は借金を作ってばかりで、息子も馬鹿でグレている。
千葉の松戸に住んでいる彼女は、東京への憧れから、東京のスーパーへとパートに出かけている。
そんな彼女の支えは、理想の「息子」を具現化したかのような、スノーホワイツのハッチこと八王子(注:八が名字で、王子が名前)。
ある日、大感謝祭のチケットの当落を気にしつつ、スーパーでレジ打ちをしていた彼女は、たまたま客としてやってきた美人が、自分同様スノーホワイツのファンであることを、そしてチケットが落選してしまったことを察知し、余分のチケットを譲る話を持ちかける……“何故若者は35年生きると死にたくなるのか”、
父は会社経営者で、母は元タカラジェンヌ。自身は美貌の会社経営者である隅谷雅。
父は早く結婚させたがっており、たびたび縁談を持ち込んだが、雅はそんな両親と相容れず、決別。彼女にはスノーホワイツのチカこと高柳主税という心に決めた存在がいたからだ。
十一年前、道に迷っている彼を写真館に連れて行ったのがきっかけで、すっかりファンになった雅。
ある日、唯一仲良くなってもよいと感じていた元同僚・美佐代と、ツアーの追っかけ先のホテルで再会。しかも翌日、会場の隣の席に彼女の姿があり、互いにスノーホワイツのファンであることを知る。
その後、あちこちの追っかけから帰った雅の元に、契約打ち切りの報が相次いだ。どうやら雅が追っかけをしているという怪文書が回っているのが原因らしく……“ぬかみそっ!”、
普通が一番だと言われて育った、山田真美。商社勤務の夫・卓郎と結婚し、娘・撫子がおリ、姑と同居中。
ところが夫がいつの間にか会社を辞め、作家に転身していることを知り衝撃を受けるが、周囲には隠している。
五年前、たまたま観たスコップのコンサートDVDのバックで踊る、スノーホワイツのジルこと皐月ジルベールを目にして以来、夢中になった彼女の楽しみは、スノーホワイツのメンバーを描いたBL小説サイトの小説を読むこと。
そんなある日、ひょんなことからママ友に「セレブ」だとばれてしまったことから、撫子が学校の友達にいじめられるようになってしまい……“小料理屋の盛り塩を片付けない”、
デブでブスの片岡真弓は、乙部しろまるというペンネームでBL小説を書いていた作家だったが、自分の好みと出版社との意見が合わず、それっきり。
小説家志望といいながら、全く書く気のないヒモ同然の夫を抱えつつ、国籍を偽ってパン工場で働いている。
本屋で目にした、雑誌でたまたま見かけた、スノーホワイツのマシューこと大船眞秀に惹かれた彼女は、やがて彼らをネタにした妄想小説をネット上にアップするようになる。
そんなある日、サイトへの熱烈な拍手コメントを寄せてきた<撫子ママ>。競争率の高いイベントのチケットが余っているからと誘われて出かけてみることに……“その辺のフカフカ”、
二月。代々木第一体育館で<スノーホワイツ初めての雪祭り>と銘うった、スノーホワイツ初の単独コンサートが開催され、出かけた五人。
その後、高級焼肉を食べに出かけ……“茄子のグリエ~愛して野良ルーム2”の6編収録の連作短編集。

人気アイドルグループのバックで踊る、デビュー前の男の子五人組・スノーホワイツに夢中な、さまざまな立ち位置の三十五歳の女性たちを描いた、一方通行の恋愛小説。
テーマからしてもっとギャグ路線かと思いましたが、さすが宮木さんだけあって女性描写が半端なく。いろんな意味で楽しく読めました(笑)。

<12/11/24>