腎臓の持病持ちだが、特に支障もなく過ごしてきた魔利。
ひょんなことから漢方を飲み始め、症状が軽くなったのと同時に、自分が書きたいと願っている長い小説のいくつかを書き終えるまでは命を永らえたいという執念が生まれた。
さらによくしなくてはと、柿の葉が良いという健康記事を読んだのをきっかけとして、周囲の人々から後先考えず柿の葉を集めるが、腐らせてしまう始末。やがて柿の葉がないという心細さから、何の葉でもいいから食べなくてはという欲求に駆られ、見舞いにもらった薔薇の葉を食べる。以来<薔薇くい姫><怒りの薔薇くい姫>と化す魔利。
普段、人々から幼い子供であるかのように存在を軽んじられることが多い魔利は、世間と自分の感覚のズレに、静かにその怒りをたぎらせている……『薔薇くい姫』、
大学の仏文の助教授であり中堅作家として名を成している生来の耽美主義者である義蘭(ギラン)・ド・ロシュフコオ。南フランスのトゥルヌヴェルの貴族を父に、日本人の母を両親に持つが既に亡く、遺産を現地で管理させつつ、悠々自適の身の上。
そんな彼は、ひょんなことから知り合った混血児らしい美少年・山川京次を茘於(レオ)と名付け、蜜月のような日々を送っていた。
ある日、ギランの留守中に出かけたナイトクラブで、レオは陶田オリヴィオという麻薬常用者のサディストに目をつけられる。レオに眠るマゾヒズムを目覚めさせたオリヴィオへの嫉妬と、レオを失うことを恐れるギランの行動は、やがて狂気へと向かってゆく……『枯葉の寝床』、
作家の杉村達吉と愛弟子の美青年・伊藤半朱は、以前よく会っていた喫茶店ベラミで六ヶ月ぶりに再会。
その間に、何かのはずみのように十八の娘・八束与志子と婚約していた半朱は、達吉との関係を選び、彼女との関係を破棄する計画を実行に移す。
「僕は日曜日には行かない。婚約も止めた…」と、半朱本人よりも本人らしい決別の文章を紡ぐ達吉。その手紙は彼女の元に残し、達吉と同居を始めた半朱だったが……『日曜日には僕は行かない』の3編収録。
『薔薇~』はエッセイ的自伝小説(?)。自己を投影させている魔利という存在の、浮世離れさ加減がちょっとおかしくもいとおしい感じ。
『枯葉~』『日曜日~』は耽美なBL小説。この2編はどちらも<高等遊民的美中年×小悪魔美少年>なカップリングの悲劇的要素のあるお話。
比喩というか文章表現が、もう本当に……耽美の極致(笑)。
<12/11/14,15>
ひょんなことから漢方を飲み始め、症状が軽くなったのと同時に、自分が書きたいと願っている長い小説のいくつかを書き終えるまでは命を永らえたいという執念が生まれた。
さらによくしなくてはと、柿の葉が良いという健康記事を読んだのをきっかけとして、周囲の人々から後先考えず柿の葉を集めるが、腐らせてしまう始末。やがて柿の葉がないという心細さから、何の葉でもいいから食べなくてはという欲求に駆られ、見舞いにもらった薔薇の葉を食べる。以来<薔薇くい姫><怒りの薔薇くい姫>と化す魔利。
普段、人々から幼い子供であるかのように存在を軽んじられることが多い魔利は、世間と自分の感覚のズレに、静かにその怒りをたぎらせている……『薔薇くい姫』、
大学の仏文の助教授であり中堅作家として名を成している生来の耽美主義者である義蘭(ギラン)・ド・ロシュフコオ。南フランスのトゥルヌヴェルの貴族を父に、日本人の母を両親に持つが既に亡く、遺産を現地で管理させつつ、悠々自適の身の上。
そんな彼は、ひょんなことから知り合った混血児らしい美少年・山川京次を茘於(レオ)と名付け、蜜月のような日々を送っていた。
ある日、ギランの留守中に出かけたナイトクラブで、レオは陶田オリヴィオという麻薬常用者のサディストに目をつけられる。レオに眠るマゾヒズムを目覚めさせたオリヴィオへの嫉妬と、レオを失うことを恐れるギランの行動は、やがて狂気へと向かってゆく……『枯葉の寝床』、
作家の杉村達吉と愛弟子の美青年・伊藤半朱は、以前よく会っていた喫茶店ベラミで六ヶ月ぶりに再会。
その間に、何かのはずみのように十八の娘・八束与志子と婚約していた半朱は、達吉との関係を選び、彼女との関係を破棄する計画を実行に移す。
「僕は日曜日には行かない。婚約も止めた…」と、半朱本人よりも本人らしい決別の文章を紡ぐ達吉。その手紙は彼女の元に残し、達吉と同居を始めた半朱だったが……『日曜日には僕は行かない』の3編収録。
『薔薇~』はエッセイ的自伝小説(?)。自己を投影させている魔利という存在の、浮世離れさ加減がちょっとおかしくもいとおしい感じ。
『枯葉~』『日曜日~』は耽美なBL小説。この2編はどちらも<高等遊民的美中年×小悪魔美少年>なカップリングの悲劇的要素のあるお話。
比喩というか文章表現が、もう本当に……耽美の極致(笑)。
<12/11/14,15>