黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『ペガサスの挽歌』皆川博子(烏有書房)

2012-10-26 | 読了本(小説、エッセイ等)
みどりの海を突き進む銀の魚雷に乗る、若い兵士・ヤマナカタケシ。しかし魚雷は途中で故障し……『花のないお墓』、
鉄筋コンクリートのビルの壁の中に、一ぴきのコンクリ虫が住んでいた。ずっとコンクリートばかり食べていることにあき、ほかの食べものをさがすことに。見かけた若い男に興味を持ち、話しかけると……『コンクリ虫』、
バカヤロ、という言葉しかしゃべれない、こだま。野うさぎや野ねずみに、こんにちはとあいさつしたつもりが、気を悪くされてしまう……『こだま』、
たいそうなかよしだった若者とギター。いつも一緒に旅を続け、かわいがられてるうちに、ギターはすっかりわがままに。やがて綺麗に塗りなおされたギターは、大きな劇場で歌いたいと、若者と別れることに……『ギターと若者』、
マイナーレーベルの音楽事務所のプロデューサーである和久は、<ムギとヒマワリ>という兄妹デュオ…ムギとくみ子…と、一緒に活動するカズの3人を引き抜いた。
ある日、ムギが薬を飲んで自殺をはかり……『地獄のオルフェ』、
退屈に倦み、学校をさぼり繁華街を歩き回っていたぼくは、黒い服を着た女に声をかけられた。泥棒を手伝わないかとさそわれ、夜、呼び出された場所にでかけたが……『天使』、
再婚相手の医師・村上利之の次男・悠司と、密かに関係を続ける亜里子。
そんなある日、悠司が風呂上りに着た服の中に隠れていた蜂に刺されるという事故が起こる。実は、それは弟に劣等感を抱く長男・哲郎が仕込んだものだった。哲郎と亜里子、ふたりの悠司の命をかけたゲームの攻防の果てに……『ペガサスの挽歌』、
主婦・河野早穂子の元にかかってきた一本の電話。それは沖本律子が死んだと知らせる、彼女の夫からの電話だった。
趣味で絵を描く早穂子の個展がきっかけで知り合い、親しくなった律子。少女めいた容貌と服装で年齢不詳の彼女と密かに交際を始めるが、やがて危機感を感じ、会わないことにする。その後、律子はジャッコという青年と関わるようになり
……『試罪の冠』、
山本比奈子は、夫・龍治の愛人である女マッサージ師・柴田潤子のもとへ、身元を明かさず出かけて行った。
思わず、そこにいた彼女の1歳2ヶ月の娘・治子をこっそり連れ帰るが……『黄泉の女』、
これといった恋愛感情を抱かずに一緒になった妻・由子。
ある日、早めに帰宅することになった彼は、電話をかけようとしてためらう。数日前の深夜、奇妙な電話に脅されたのを思い出したのだ……『声』、
再婚した妻・由津子の、最初の夫との間にうまれた中学生の次女・千夏が寛を訪ねてきた。しかしあいにく由津子は、仕事に出かけており留守だった。
その後、家で留守番をしていた千夏が、居直り強盗に襲われ死亡して……『家族の死』、
関谷香子の夫・英介が、愛人の弓雄の小指を持ってきた。彼女との関係が夫にばれたが、その関係を続けさせて欲しいと指を差しだしたのだという。
そんな彼女の娘・麗子は、学校で同級生の首を針で刺し、情緒不安定ではないかと担任から相談が……『朱妖』の12編収録。

デビュー前の児童文学作品(前4編)を含む、1970年代に書かれた単行本未収録作品を集めた短編集。
最初から完成されている世界観だなぁ、としみじみ感じました。
他にも未収録作品があるそうなので、是非単行本化して欲しい!

<12/10/24~26>