黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『話してあげて、戦や王さま、象の話を』マティアス・エナール(河出書房新社)

2012-10-23 | 読了本(小説、エッセイ等)
1506年、彫刻家ミケランジェロ・ブオナローティはフィレンツェを発ち、コンスタンティノープルに上陸した。
ローマ教皇ユリウス二世の命を受け、教皇廟の制作を手がけていたが、教皇の支払いの悪さや芸術家蔑視に辟易。そこへオスマン帝国のスルタン・バヤジット二世から金角湾に架ける橋の設計を依頼が舞い込んだ。教皇の何倍もの報酬を出すという好条件に惹かれ、ローマを遁走してきたのだった。
これまで手がけたことのない橋の設計という仕事。そのイメージを模索してゆく中で、大宰相アリ・パシャが贔屓にしている詩人で秘書でもあるメシヒ・デ・プリスティーナと心を通わせ、親しくなる。ローマの身内へ手紙を書き送り、教皇側の動向を気にしつつも。
そんな中、長いことヴェネツィアに住んでいたことがあるという青年・アルスランと知り合った、ミケランジェロ。そして彼の知る、美しい歌い手の女性に心惹かれる。
メシヒは、そんな彼らとミケランジェロの間に嫉妬心とともに、何かあるのではないかと感じていた……

橋の設計の依頼を受け、トルコにやってきたミケランジェロのお話。
ヒトとしてのミケランジェロに詳しくないのですが、実際にそういうエピソードがあったとか。作中に出てくる手紙とかは本物を元にしてあるそうで。
タイトルや装丁からもうちょっとほのぼのな話を想像していたら、なかなか意外な展開に;
メシヒの無私の愛が、ちょっと切ない;

<12/10/22,23>