黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『落語娘』永田俊也(講談社)

2009-07-18 | 読了本(小説、エッセイ等)
中学生の時、叔父に連れられた池袋の寄席で三松家柿紅の落語『景清』に魅了された、長村香須美。大学卒業後、三松家柿紅の弟子入り試験を受けるも、落とされた彼女を拾ってくれたのは、柿紅の同門の兄弟筋にあたる三々亭平佐だった。
女への差別と偏見の厳しい世界の中で、苦戦を強いられ5年経っても未だに前座。おまけに、平左は稽古もつけてくれないばかりか、テレビ番組での舌禍事件で表舞台から遠ざかり、収入の少ない彼女にたかる始末。
そんな中、平左が『緋扇長屋』といういわくつきの落語を40年ぶりに復活させようとしているらしいという噂を聞き、……『落語娘』、
昔ながらの話芸で舞台に臨む海野濱子・宇多恵のコンビ。野心や色気にほど遠い、のんびりした宇多恵が最近少しおかしい。ある日、上方演芸大賞を獲ろうと言い出して……『ええから加減』の2編収録。

どちらもお笑い関係のお話。『ええから加減』は短編。
『落語娘』は、少し前に映画化されてるようなので、そちらもちょっと観てみたいかも。

<09/7/18>

『智天使(ケルビム)の不思議』二階堂黎人(光文社)

2009-07-18 | 読了本(小説、エッセイ等)
1953年、元男爵であった名家・二古寺家が戦後没落し、東福剛介という金貸しから家を借り、精神的に弱くなっている母・萌子と住んでいた娘・郁美。彼女は、東福を殺害するが、その後始末をし、また陰に日向に彼女たちを支え続けたのは、父の代から二古寺家に仕えていた使用人・杉森修一だった。
郁美は、疑われながらもある策略で容疑を逃れ、のちにマンガ家・天馬ルミ子となり、事件は迷宮入りした。
1987年、大学生にして多くの刑事事件の解釈に貢献した、“名探偵”水乃紗杜瑠(サトル)は、親しくなった十姉妹刑事から、退職した間宮元刑事が追っていたという、その事件について話を聞く。
そんな中、郁美の二度目の結婚相手である、評論家の溝口康生が自殺にみせかけて殺害された。彼の本名は波田圭介といい、かつての事件の折、郁美の隣室に住んでいた男であった……

倒叙ミステリ。一言でいうなら、『容疑者Xの献身』二階堂バージョンというか、『容疑者~』への挑戦というか…(笑)。
トリックに使われてるネタのマニアックぶりが、とても二階堂さんらしいかも。

<09/7/18>