黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『銀河不動産の超越』森博嗣(文藝春秋)

2008-06-27 | 読了本(小説、エッセイ等)
“省エネ青年”高橋は、大学で、ここだけはやめておけ、と忠告を受けた、銀河不動産に入社した。そこで働くのは、高橋と、“気力の人”である社長・銀亀元治、事務員の佐賀佐知子の3人きり。ある日、これまでの部屋が手狭になった為、とりあえず部屋をいろいろ見たいという、資産家の夫人・間宮葉子からの依頼で部屋探しを始めた高橋。そんな中で、築20年と古いながら、広く風変わりな家を気に入った彼女は、自分が買うからここに高橋に住むようにいい……『銀河不動産の超越』、
ミュージシャン・丹波銀朗から、寝ている間に日光浴ができるような部屋探しを頼まれた。ところが下見に行く朝に、高橋が遅刻、しかも彼に渡すはずの資料も家に忘れてきてしまう。しかたなく下見の帰りに、高橋の家に寄ってもらうことになったのだが……『銀河不動産の勉強』、
作家・山田由美とコンクリートを使う彫刻家・島田美佐子の2人が、一緒に住む為の“面白い部屋”を探しにきた。無事分譲マンションを購入したものの、入居するはずのマンションの竣工が遅れ、さらに前の場所は解約してしまっていたので、住む場所がない。高橋は、ついマンションができるまでの間の居場所として、自分の部屋を提案し……『銀河不動産の煩悩』、
60歳くらいの男性・池谷芳和が来店。自作の遊具を設置したアミューズメント施設を始めたい為、場所を探しているという。資金を切り詰めたいという彼の為、開業までの間、高橋の部屋を提供することに。ちょうどジェットコースタを組み立て始めたところに間宮夫人が現れて……『銀河不動産の危惧』、
高橋が目を覚ますと、そこには池谷の娘・登美子が。高橋のことを気に入ったらしい池谷が、自分の娘を嫁にもらって欲しいと、語っていた言葉を実行に移したらしい。断ったつもりだったが、登美子はそのまま部屋に居ついてしまい……『銀河不動産の忌避』、
周囲の人々は、何げに高橋と登美子が結婚するものと思い込んでおり、各々に結婚祝を贈るという。そんな雰囲気に流されている高橋だったが……『銀河不動産の柔軟』、
高橋と登美子が暮らしていた家に、池谷と、離婚して居場所をなくしている丹波の友人・熊崎文夫と、何故か丹波も住みだした。そんな中、山田と島田もマンションでのご近所トラブルなどもあり引っ越してきて、一気に人口が増加し……『銀河不動産の捕捉』、
2人は結婚し、銀亀社長の死後、高橋が会社を引き継ぐことに。それまで住んでいた家を事務所にして、インターネットでの販売に転換し、やがて事業は成功を収め……『銀河不動産の羅針』の7編収録の連作短編集。

銀河不動産に就職した省エネな高橋青年が、お客として現れるちょっと変わった人々と交流していくお話。
ちょっとほのぼのとした雰囲気が楽しいです。

<08/6/27>