黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『銀座開化事件帖』松井今朝子(新潮社)

2005-07-05 | 読了本(小説、エッセイ等)
文明開化に賑わう、明治七年の銀座。
とある事件をきっかけに蝦夷に隠遁していた久保田宗八郎は、士族の兄・正矩からの頼みで、4年ぶりに東京へ舞い戻った。東京中にガスランプを灯したいという計画を邪魔する輩から、元大垣藩主の若様で、唐物屋『九星堂』の主・戸田三郎四郎を守ることになったのだが、彼は何とヤソ教の洗礼を受けていて……『明治の耶蘇祭典(クリスマス)』。
井戸の中で発見された男の死体。殺された男が賭博に手を出していたことを知り、ひそかに潜入する宗八郎たち……『井戸の幸福』、宗八郎がいる煉瓦棟に、越して来た車夫の夫婦。しかしその妻は、上品な美人で……『姫も縫ひます』、ある日、目にした『太平記』の一節を語る少年と、その祖父の姿。実は、彼等はしばらく交流の絶えていた、宗八郎の父方の親類だった……『雨中の物語り』、異人館に奉公していた娘がその家の息子に見初められた。しかし父は、大反対で……『父娘草』の連作短編(話は繋がっているので、長編っぽいですが)。……そして、宗八郎の宿敵との対決は!

江戸と明治という時代の間で、揺れ動く人たちの光と影が、うまく描かれている作品でした。

<05/7/4,5>