Cafe de Kerm ~毒味ブログ~

物言いにも、珈琲にも、もれなく毒が混入している可能性が無いこともないです。

パチンコ依存のケアを

2006-04-02 20:08:02 | Thinkings
 最初に断っておきますが、私はパチンコをやりません。と言うか、最近は競馬をはじめとするギャンブルをやっていません。宝くじもここ数年買っていない有様です。

 しかしながら、私がやっていなくても、パチンコをやっている人間は私の周りにはたくさんいます。それこそ毎日のように行っている人間を多数知っています。彼ら曰く、暇つぶし、趣味、何となく、心が騒いで・・・なんていうか、最後のは依存症かと思いますが、自分たちの扱えるお金の範囲で楽しんでいるようです。
 話によりますと、「30分で1万円」などと言うとんでもない早さでお金が消えていくという、にわかに信じられない話が、まことしやかにささやかれておりますが・・・そんな恐ろしいところに、私は今後も行くことは無いでしょう。
 とは言え、彼らに言わせると、私がPalmに5万使うのは信じられないと言いますし、雑誌に月1万ほど使うというのも考えられないと口をそろえます。端から見れば同じ事なんでしょうね。
 私がデジタルデバイスやメディアに依存しているように、彼らはパチンコ、パチスロに依存しているというわけです。考えてみれば、趣味というのはそういう物なのかもしれません。

 しかしながら、趣味が高じて何とやら・・・それが悪い方向に行ってしまうと悲惨なことになります。現に、私の知り合いでも、パチンコによって借金が50万以上にまでふくらんでしまった人がいるわけですから。
 そして、そういう人は意外に多いようで、パチンコ業界でも問題になっているようです。

パチンコ依存、1人で悩まないで=業界自ら相談機関を開設へ 時事通信、Yahoo!

 パチンコに熱中するあまり、車内に幼児を放置して死亡させたり、借金を重ねたりするなどの事例が後を絶たない。そんな「パチンコ依存」の状態からの回復に向け、パチンコ店の業界団体が19日から専門の精神科医らによる相談機関を開設する。
 国内にはパチンコなどのギャンブルに依存する人が150万~200万人いると推定されるといい、関係者は「1人で悩まないで」と呼び掛けている。


 ギャンブル全般に言えることですけれど、一度もうけてしまうとそのイメージが先行してしまって、「次こそは、次で取り返せる」と考えてしまう状態、いわば「頭に血が上ってしまう」事が多いようです。そうなると、しばしば後戻りが難しくなることが多いようなのですね。
 実を言うと、私がギャンブルをやり出すと、そうなるのが確定なので、できるだけ寄りつかないようにしているのですね。ちょこっと競馬とかに手を出していたのは、お金をかけるスパンが比較的長いので頭を冷やす時間があるのと、かけるお金を自分で管理できるから・・・という建前でやってました。掛ける金額も少額(2,000円とか)でしたからね。

 何にせよ、悪い事態が起こってしまったら、できるだけ早く信頼できる第三者に相談することですよ。仕事でもプライベートでも。
 そういう意味では、今回の様な機関というのは、周知さえしっかりできれば、一人で悩んでいる人の光明になるのでは、と思います。



 本音で言うと、「イメージアップ戦略も大変だね」というのがありますけれど。なんか起こったときの為の、保険みたいなものですかな。「私たちは努力していますよ」という主張で。ま、双方にとって利益があるはずですから、こういう取り組みもありだとは思いますけれどね。

目に見えぬ故の悲劇

2006-04-02 00:44:07 | Life
 普段私たちが呼吸している大気の組成というのは、窒素78%に酸素21%、アルゴン0.9%。残りの0.1%のうち0.037%を二酸化炭素が占める他、様々な物質があげられます。
 人間の呼吸機能というのは、この大気中で効率よく呼吸ができるように作られており、この組成からわずかでもはずれると、とたんに機能に障害が発生することとなります。

 私は職業柄、呼吸関連の事故についてはよく耳にするのですが、その典型的かつ悲惨な例が、記事になっていました。

井戸からの救出劇で、6人が窒息死

メキシコシティ 31日 ロイター] 井戸の掃除をしていた親子が、一酸化炭素中毒で死亡する事件が発生した。またこの事件では、隣人1名、兵士2名、警察官1名も死亡した。 excite

 6人がなくなるという、何とも悲惨な事故です。それぞれが時間差で井戸内部に入っているので、普通だったら「何かある」とわかりそうなものですが、それでも起こってしまう当たりが中毒事故の恐ろしいところです。
 では、記事を引用しながら、詳しく事故を見ていきましょう。

フルヘンシオ・エレオカディオ氏と彼の息子のダニエルは水曜日、深さ20メートルの井戸を掃除しようと、明かりを得るために小型のガソリン式発電機を持ち、内部へと降りていった。

しかし発電機から発生した一酸化炭素が井戸の中に充満してしまい、2人は死亡した


 一酸化炭素、二酸化炭素は窒素、酸素よりも重いので、底面にたまります。事故現場となった井戸の底は、四方を壁に囲まれた形になっており、それらの重い気体が逃げる場所がありません。もちろん上は空いていますが、重い気体が底面に充満することで、軽い気体が上から逃げていく為、全く意味が無い形になります。
 その結果、一酸化炭素が井戸底面に充満、徐々に濃度の濃くなる一酸化炭素を吸うことで、体内に酸素が行き届かず、典型的な一酸化炭素中毒によって死に至ったと言うわけですね。親子は、短時間で作業を終えれば軽度の中毒症状のみで助かったはずですが、一酸化炭素濃度が比較的早く上がったか、軽い症状が出ても無視して作業を続行したため、脱出できなかったと考えられます。

親子がなぜ死んでしまったのか調べようと井戸へ入った隣人男性も死亡、地元兵舎から救援要請を受けてやって来た兵士2名も井戸へ入って死亡してしまった。さらに彼らを助けようとした警察官1名も井戸の中で死亡した。

 本当の問題はここからです。
 私たちは、マンホールのピット内や、コンクリで作られた貯水槽内部に入る際に最新の注意を払います。硫化水素や一酸化炭素、二酸化炭素が底面部にたまっている可能性があるからです。
 そして、少々残酷な話になるのですが、適切な装備が無い場合、ピット内で倒れている人を助けてはいけません。被害が広がるのを防ぐためです。
 他の気体により酸素濃度が低下(6%以下)すると、人間はたった一呼吸で昏睡に陥ります。また、硫化水素、一酸化炭素は一定以上の濃度を呼吸すると、「即死」します。
 それらの気体は目には見えないため、「どこからが境界か」と言うことがわかりません。下手に助けに行った場合は、助けに行った人間までが倒れることになるのです。
 事故の例でも、隣人、兵士、警官が次々と亡くなっているのはそのためです。
 基本的には、危険を冒して助けても、すでに手遅れ、もしくは重度の後遺症が残ることがほとんどです。自分の身を守るためにも、素早く119に連絡し、事態を正確に伝えることに専念してください。

 最近でも、温泉地で硫化水素が発生し、家族4人が犠牲になるという痛ましい事件が起きていますし、数年前、自衛隊の一個小隊が、盆地での訓練中に全滅すると言う事故も起きています。大都市圏でも、マンホールから致死量の硫化水素が吹き出していたという事例がありますし、ほんの一メートルほどの穴にかがんだ瞬間、倒れたという事例も聞いています。穴の底で枯れ草が腐敗しており、腐敗ガスが充満していたと言うことなんですけれど・・・
 つまり、決して人ごとではないんです。四方が囲まれた、普段人が入らない場所に入るときは十分に注意すること。もし、穴に入った人間が突然倒れたり、腐敗臭(硫化水素は臭いのです)が漂ってきたばあいは、すぐにその場を離れることです。

 今回の事件がここまで大きくなったのは、彼ら被害者に適切な知識が無かったからに他なりません。彼らの犠牲を無駄しないことが、彼らへの手向けになることでしょう。