kenroのミニコミ

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アメリカ東海岸美術館巡り2013 1

2013-01-08 | 美術
アメリカが広くて、金持ちの美術館が多いとは知っていたが、これまで見過ごしていたのを挽回できてよかった。最初から大げさだが、ワシントンのナショナル・ギャラリーは予想を超える大きさと収蔵品だったからだ。アメリカはMETがあるが、ここも引けを取らない。なにせ「国立」なのだから、民間に負けるわけにはいかない。だが、収蔵品は寄附、寄託ばかりだという。そもそもナショナル・ギャラリーの設立からして銀行家のアンドリュー・メロンがロンドンのナショナル・ギャラリーを見てアメリカにも作りたいと自身の蒐集作品をすべて寄贈したことに始まるそうな。そしてロンドンのを真似て入場料も無料。広さからいうとロンドンのと、どちらが広いか分からないが、収蔵点数はルーブルに負けないそうなので、ロンドンより規模が大きいのだろう。ただ、ロンドンと違って彫刻や工芸作品も展示しており、特にロダンとドガのコレクションは圧巻である。絵画は、12世紀!のものに始まり、ポスト印象派頃までで、ルノアールやモネ、どこかで見たことのある有名作品も多い。ただ、1930年頃以降のヨーロッパからの購入と言う制約からか、北方ルネサンスやバロック、スペイン絵画は少ないと感じた。しかし、イタリアルネサンス、500年前のダ・ヴィンチ(21歳の作品「ジネブラ・デ・ベンチの肖像」は有名。西半球でダ・ヴィンチが見られるのはここだけだそう)やボッティチェリ、彼らより古いフラ・アンジェリコやフィリッポ・リッピもあり、よくぞはるばるきれいな状態でアメリカ大陸まで来たものだと感心する。ほかにもフェルメールが3点! レンブラント末期の鬼気迫る自画像、そしてもちろんアメリカ印象派、近代絵画も多い。
後にできた東館は現代美術。ちょうど、ロイ・リキテンシュタイン展とバーネット・ニューマン展をしていて、リキテンシュタインをあれだけ一同に見られるのはアメリカならでは。あの細かなドットが一つ、ひとつ息づいているように感じられて、リキテンシュタインが、アンディ・ウォホールと競い合わずに、己のペインティングを追求した様が浮かぶよう。常設にはカルダーのモビール部屋、ブランクーシも空間の鳥2点など、うれしくてたまらない。ショップでモビールも売っていたが、美術館や大きな公共空間でこそ映えるアート。我慢した。
ただ、アメリカのコンセプチュアル・アート(ポロックもあります)やミニマル・アートなど大画面のドローイングは多いが、ヨーロッパの近代と現代を結ぶ作品(たとえばキリコであるとか、ドローネーであるとか)は、ピカソ、ミロなどの超有名作家に比して少ないのではないか。にしても、マネ以後の印象派のモネ、ルノアール、ドガ、セザンヌなど親しみやすい作品数はさすが。多分フランス以外ではこれほどそろっていないのではないかと思うほど、ピサロやメアリー・カサット(フランス生活の長いアメリカ人らしいが)の作品も多い。特にルノアール「じょうろを持つ少女」だのモネ「パラソルと女性」だの教科書どころかなんかのコマーシャルやテレビで見た、見たという作品ばかり。
「ナショナル」の力に改めて驚くとともに、「財」のアメリカを実感する。(ブランクーシ「空間の鳥」)
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