よくその趣獅ェわからないデザインの奈良県庁の脇を進むと、興福寺がある。昔、一度訪れたことがあるはずだが、記憶にほとんどない。今回、新聞で、秘仏公開と載っていたので、訪れてみた(秘仏公開は、11/25まで)。
秘仏とは、興福寺の中心とは、道を隔てた反対側にある大圓堂・本坊にある聖観音菩薩立像をいう。国宝館と共通チケット。
ちょっと並んで入ると、東室北庭(ひがしむろほくてい)がある。仏像彫刻で著名な薮内さんの作品(七福神大神)が庭に展示されている。現代的だが、親しみの湧く作品だ。
そこを通り抜けると、客人を迎える客室がある。そして、秘仏のある大圓堂がある。秘仏は、ちょっと距離をおいて見ることになる。ライトアップされていて、よくは見える。鎌倉時代の典型的な、聖観音像と思われた。寺内では、史上初めての公開らしい。
そして、国宝館。かの有名な阿修羅像を初めとした八部衆像が一同に展示されている。通常は、4体のみの展示という。
これぞ、圧巻という言葉がふさわしい。五部浄(ごぶじょう)、沙羯羅(さから)、鳩槃茶(くばんだ)、乾闥婆(けんんだつば)、阿修羅(あしゅら)、迦楼羅(かるら)、緊那羅(きんなら)、畢婆加羅(ひばから)の8人。
インドの神様達だが、まだ、仏教伝来後間もない当時、どんな思いで、どんな情報に基づいて、これほど完成度の高い乾漆像が作られたのか。ミステリアスだ。度重なる火災の中、これらが残されたのも奇跡に近い。この8体を見るだけでも、行った甲斐がある。
展示はこれだけにとどまらず、笑顔で豊満な大きな仏頭(奈良県各地の博物館にレプリカが展示されている)、大きく威厳のある千手観音像、ちょっとおちゃめな2体の鬼立像、躍動感あふれる金剛力士像など、国宝館の名にふさわしい展示の数々。ここだけでも、十二分に興福寺を堪能した気持ちになった。
尚、ここにある絵葉書群は、ひじょうに品質がよく、たくさん購入してしまった。