本書も、青天を衝くの便乗本ではあるが、宝島さんらしく、ガイドブックから一歩出た、渋沢栄一ムックとなっていた。
最初の方は、大河ドラマに沿った内容ではあるが、ビジュアルかつコンパクトにまとめられており、読者の興味をそそる。
次は、渋沢栄一の生涯概要であるが、その多彩かつ、芯の通った生きざまがよくわかる。
ダイナミックな人生を歩んだ人だが、中庸を最後の判断基準にしたため、大きな業績を上げられたのだ。
金儲けが悪いとは言わず、ただ、その方法、目的、程度等が、バランスが取れたものでないと、破綻すると言い、これは論語の勉強から得た渋沢哲学と言えるものだ。
そして、栄一がかかわった会社・団体、企業、教育、社会事業の紹介になるが、基礎知識がない人にもわかるよう、わかりやすく説明。
そして、栄一の魅力を、家族、暮らしぶり、飛鳥山の活用、その交友関係、人的ネットワーク等を通じて浮き彫りにする。
ここだけ見ても、超人的な人だったことがわかる。
区切り区切りで、渋沢栄一の名言が紹介されるが、やはり論語にある考え方をベースにしたものが多い。
貧困者は「貧乏ひまなし」を理想とせずに、「稼ぐに追いつく貧乏なし」の意気込みで日常の仕事に当たることを心がけるとよい。
という名言が紹介されているが、いつも「貧乏ひまなし」と言っている私の心に刻みたい。
ということで、大河一辺唐ナはなく、渋沢栄一をより客観的にわかりやすく知りたい人向けのMOOKらしいMOOK。