当協会では毎年、漁業者からの要望をもとに、
アワビ・トコブシ、サザエ種苗を数十万個生産しています。
以前は、スタッフも水槽の数も今よりだいぶ多かったため、
その生産数を維持できていましたが、最近ではそれが難しい
状況になっています。
そこで、今までよりも作業数を減らして、生産数を維持する
方法を日々模索し、新たな飼育方法を試行しています。
昨年度から試しているのが、この方法です。
今までは、採卵後2~3ヶ月は波板を吊るして飼育し、
剥離をして屋内のかご飼育へと移行していましたが、
この方法では、剥離をせずに、波板飼育からそのまま
直(じか)飼育を行っています。
昨年度、マダカアワビでこの直飼育を行ったところ、
とても生育が良く、生存率も高い結果が得られました。
また、大きく育ててから剥離をしてサイズ毎に
屋内水槽に収容すると、その後の成長も順調で、
低密度で収容したはずが、2~3ヶ月でシェルターから
はみ出るほどの大きさになっています。
昨夏に採卵したトコブシについても、
屋外での直飼育を経て剥離をしたところ、
成長が良く、屋内に移しても順調です。
サザエについても、直飼育を行っています。
サザエは剥離が容易なため、屋外直飼育をしながら
剥離・選別を行い、サイズ毎に収容しています。
アワビやトコブシと違って、日中も動き回っています。
一定サイズより大きくなったら、屋内水槽に移します。
現在の飼育状況
順調に成長しています。
屋外での飼育期間を長くとり、貝を大きくすることで、
剥離による死亡数が減り、選別等の回数も減らす
ことができました。
また、屋内飼育では配合飼料を使用するため、
そのコストも抑えられます。
まだ試行2年目ですが、良い結果が出るのでは、
と期待しています。