小説心臓移植

先月来、私は札幌と関係のある作家、渡辺淳一の作品を読んでいる。歴史ものや医学系の小説が有名だが、非常に印象に残る作品は「小説心臓移植」。
これは1969年に、「オール読物」1月号と2月号に連載された小説だ。テーマはもちろん、札医大の和田寿郎教授が1968(昭和43)年8月8日に行った心臓移植手術。今は、文藝春秋社の「渡辺淳一作品集(2)」。

この手術について「ウイキペディア」からの引用。
和田寿郎を主宰とする札幌医科大学胸部外科チームは、1968年(昭和43年)8月8日に、日本初、世界で30例目となる心臓移植手術を実施した。ドナーは21歳の溺水事故を起こした男子大学生。レシピエントは心臓弁膜症の18歳の男子高校生で、和田によれば、多弁障害を抱え人工弁置換術では根治できないとされる患者であっ
た。手術は約3時間半をかけて明け方、終了した。レシピエントは意識障害がなかなか回復しなかったが、やがて意識回復。8月29日には屋上で10分間の散歩をし、その回復振りをマスコミに披露した。その後、一般病棟に移ったが、9月に入ると徐々に食欲不振に陥る。検査の結果、輸血後の血清肝炎と診断された。
術後においても発症が現れていたという、意識混濁の症状も進みはじめたレシピエントは、10月に入って一旦、小康状態を発表されるが、手術後83日目の10月29日に食後に痰を詰まらせ長時間にわたる蘇生術の甲斐もなく急性呼吸不全で死亡したと医師団により発表された。

その後、日本では臓器移植はあっても「心臓移植」は行われていないのではないか。命を救う行為の裏に、命を奪う(心臓をもらう)という全く矛盾した行為があるからだ
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