国有地「8億円値引き」キーマンとその動き

これまで例の森友学園の問題については3度ほど記してきたのだが…。

「週刊文春」3月9日号の特集記事を活用させていただく。
この値引きのキーマンが実名(川田裕介氏)で「安部晋三記念小学校“口利き”したのは私です」と言う。安部晋三事務所にボランティアとして出入りしていた。その後「鳩山邦夫事務所参与」の名刺をもち、近畿財務局を訪問、我が子も通う予定の「安倍小学校」について統括国有財産管理官に説明した。「よしなにして下さい」と。
 
同誌が掲げる「主な動き」を参照して時系列で記してみると
2011年7月・森友学園とは別の学校法人が例の土地を買いたいと言ったが、ゴミ撤去や汚染土除去等を考慮して5億8千万円が提示されまとまらない。
2012年・川田氏、安倍晋三氏と交流(安倍事務所に出入り、東京でしゃぶしゃぶ店で会食など)、この年の12月に安倍首相誕生。
2014年・学園が安部晋三記念小学校協力寄付呼びかけ開始。夏頃、川田氏が近畿財務局庁舎で「国有財産管理官」と面談。10月に大阪府に小学校設置の認可申請。
2015年1月・大阪府の私学審議会が「認可適当」の決定。5月に学園は近畿財務局と定期借地契約を結ぶ。9月に安倍昭恵氏が塚本幼稚園で講演。名誉校長就任。
2016年3月11日・学園が「地下埋設物を発見」と近畿財務局に報告。3月24日に「借地でなく土地購入」を申し入れる。6月20日に鑑定価格9億5600万円からゴミ撤去費を引いた1億3400万円で売買契約を交わす。
 
一歩翻って、私たちが「新しい学校」をつくろうとしてある自治体とかけ合ったらどういう展開になるだろうか。私たちがつくりたい学校の趣旨に賛同する当該自治体の首長及び議会筋の人たちが、(その自治体への経済的なプラス面は当然に考えるにしても)この学校の意義を第一に評価するだろう、そして社会的に有意義なものとして理解したなら設立に協力してくれるに違いない。この「協力」として、土地の便宜もあるかも知れない。

かつてある自治体と話し合ったときに学校敷地について便宜を図る旨の話はあった。しかしそれにしても土地評価額の1割近い額で売ってくれるなどは考えられないし、かつて書いたようにまだその場所も確定していないときに(2015年1月)私学審議会が「認可適当」という決定などあり得ない。
さらに森友学園の場合のように、学校開校の日程に合わせていろいろな都合をつけるなどあり得ない。
 
川田さんという人がキーマンとしての役割を果たしたのだろうが、結局はバックに安倍首相夫妻が「サポーター」として位置づいていたから、特別な政治家が明確な動きをしなくても「必要事項」は当該官庁の担当者は「理解」し、土地の譲渡を含めて最大限の便宜を図ったのであることは容易に想像できる。
 
だから、この森友学園問題は特定の政治家が特別な動きをして問題の土地便宜を図るということは立証できないのではないだろうか。サポーターが安倍夫妻という「最高の条件」だ。以心伝心、お互いの利益の「忖度」のし合い、などが重なった形で展開された問題ということになるのではないだろうか、という気がするのだが…。
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