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呉市かまがり天体観測館

呉市かまがり天体観測館のブログです。
イベントや星空情報等を掲載していきます。

クリスマスの星

2015-12-24 13:38:35 | その他

今日12月24日はクリスマス・イブ、明日25日はクリスマス。

クリスマスといえば、イエス・キリストさんの誕生のお祝い(誕生日ではない)
の日で、クリスマスツリーに飾りつけをしたり、ケーキや特別な料理を食べたり
して、大事な人と過ごす人が多いですね。

このクリスマスも実は星と無関係な日ではありません。

聖書には、ベツレヘムの星というのが輝き、キリストさんが生まれることを
知らせたというお話が載っています。そう、クリスマスツリーのてっぺんに
飾るあの星のことです。

この星の正体については明らかになっておらず、様々な天体が候補に
挙げられています。もし、本当にベツレヘムの星が現れていたとしたら、
一体、何だったのでしょうか?

超新星、彗星、火球、惑星、変光星、…などなど、当てはまりそうな候補を
考えて、2000年前に何があったのか、想像してみるのも面白いと思いますよ。

ちなみに、クリスマスツリー星団という天体もあります。





 
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スイングバイ

2015-12-06 13:48:22 | その他

12月3日、小惑星探査機「はやぶさ2」が地球スイングバイを
実施し、小惑星「リュウグウ」へと旅立ちました。

スイングバイとは天体の重力を利用して、探査機を増速したり、
減速したり、また方向転換をする方法で、探査機に搭載する
燃料を大幅に節約できるため、宇宙探査の世界では、とても
重宝される技術です。ただし、位置・速度をとても正確に制御
しなければならないため、そんなに簡単な技術ではありません。

天体の公転方向に対して後方を回れば、探査機は加速され、
前方を回れば、探査機は減速されます。

加速の場合、地球の公転エネルギーが探査機に与えられているので、
地球はエネルギーを失っており、厳密に言えば、ごくわずかに地球
の軌道が太陽に近づいて、公転速度は速くなっているはずです。
つまり、今回のはやぶさ2のスイングバイによって、地球の1年は
短くなったということです。

それでもあまり気にすることはありません。探査機に比べて地球は
とても重いので、その影響力はごくごく小さいからです。

12月7日にはあかつきの金星への周回軌道投入が予定されているなど、
これからも数々の宇宙探査が行われていくことと思います。スイング
バイは宇宙のたくさんの謎を解くため、新しい技術の開発のため、
これからの人類の発展のためと、様々な目的で行われる宇宙での探査
の中で、重要な位置づけを持っている技術の1つです。

これも四則演算+αの計算知識で解けますので、中学生以上で興味が
ある方は、はやぶさ2のフライバイで、どのくらい地球の1年が短く
なったのか考えてみるのも面白いと思います。


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土星の1年

2015-11-06 14:08:56 | その他

みなさんは、土星が何年かけて太陽の周りを1周するか知っていますか?

実は、太陽と土星の間の距離が分かれば、この問題が解けてしまいます。
※惑星に比べて太陽が圧倒的に重たい場合です。また、ここでは、
 地球と太陽の関係を基にして考えています。


考える式は、

(太陽からの距離)^3 [AU^3] ÷(太陽の周りを回る時間)^2 [年^2] =(一定)

です。この式はケプラーの第三法則と言います。

ここで、“AU”は天文単位(Astronomical Unit)といい、太陽と地球の間の距離
(約1億5千万km)を1として考えた時の距離の表し方です。例えば、5[AU] とは
太陽と地球の間の距離の5倍のところ、1.5×10^8 ×5 = 7.5×10^8 [km] のこと
です。

では、計算してみましょう。土星が太陽の周りを回る時間をPとします。
太陽と土星との距離は太陽と地球の間の距離の10倍、つまり10[AU]です。

 地球の場合、
  (太陽からの距離)^3 ÷(太陽の周りを回る時間)^2 =(一定)
     1^3 [AU^3] ÷ 1^2 [年^2] =(一定)

 土星の場合、
  (太陽からの距離)^3 ÷(太陽の周りを回る時間)^2 =(一定)
     10^3 [AU^3] ÷ P^2 [年^2] =(一定)

両方とも太陽に対しての関係ですので、

  (地球の場合)=(土星の場合)

となるはずですから、

 1^3 [AU^3] ÷1^2 [年^2] = 10^3 [AU^3] ÷ P^2 [年^2]
   1 [AU^3/年^2] = 1000 [AU^3] ÷ P^2 [年^2]
   P^2 [年^2] = 1000 [年^2]

となります。

答えは同じ数字をかけると1000になる数字です。
およそ30ですね(30×30=900)。

ということで、土星は太陽の周りを約30年かけて回っているということです。

もちろん、他の惑星の1年を求めたり、逆に太陽の周りを回る時間から、
太陽との間の距離を求めたりすることもできます。

たくさんチャレンジしてみてください。







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ブラックホールの大きさ

2015-10-29 14:54:12 | その他

久しぶりに計算をしてみましょう。

安心してください。小学校で習う+、-、×、÷ ができれば、
バッチリ解けてしまいます。

今日のテーマはブラックホール(BH)。

BHは世の中で一番速く動くことができる光のスピードでも抜け出すことが
できないほど重力の強い天体のことです。とても大きな星が死んだ後に
できる星の残骸です。光速で抜け出せるのか、抜け出せないのかの境界が
BHの表面なので、そこに何かモノがあるわけではありません。

BHには特徴が少なく、毛が3本と言われます。
質量・回転・電荷しか見分ける術がないからです。

ここでは、回転と電荷を無視して質量のみで考えていきます。

では、問題です。
※書き方やゼロの扱い方は以前のブログ記事で説明していますので、
 ここでは省略します。

もし、宇宙に太陽と同じ質量のBHがあったとしたら、その大きさは
どのくらいになるのでしょうか?

これを解く式は、
 (BHの半径) = 2×(重力定数)×(質量)÷(光速)^2
です。

ここで、
 ・重力定数 : 0.000000000067 [m^3/kg/s^2] = 6.7×10^-11 [m^3/kg/s^2] 
 ・光速   : 300,000,000 [m/s] = 3.0×10^8 [m/s]
ですので、すでに分かっています。

分かっている数値を入れて、式を整理すると、
 (BHの半径) = 2 × 6.7×10^-11 ×(質量)×(3.0×10^8)^2
        ≒ 1.5 ×(質量)× 10^-27 [m]
となります。とても単純な式になりましたね。

つまり、質量を1.5倍して、ゼロの数を27個調整すれば、BHの大きさが
分かってしまうのです。

では、太陽の質量で考えてみましょう。
 ・太陽の質量 : 2.0×10^30 [kg]
を上の式に入れて、計算するだけです。

 (BHの半径) = 1.5 × 2.0×10^30 × 10^-27
        = 3.0×10^3 [m]

できました!答えは3,000m、つまり3kmです。

太陽がもしBHに変わってしまったら、直径6kmの大きさのBHが出来上がる
ということです。う~ん、現在の太陽の直径が140万kmだということを考え
ると、とても小さい…。太陽全部を直径6kmの範囲に押し込めないとBHは
出来上がらないということですね。

この(質量)のところに地球の質量を入れれば、地球がBHになった時の
大きさ、自分の体重を入れれば、自分がBHになった時の大きさを導き出す
ことができます。逆に、大きさの分かっているBHがあれば、その大きさ
からBHの質量を計算することもできます。

様々な質量・大きさを入れて計算してみると面白いと思いますよ。





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星を観て進む

2015-10-19 13:37:41 | その他

みなさんは、「天測航法」という言葉を聞いたことがありますか?

水平線(または地平線)と天体の角度を測って、地球上での自分の
位置を特定する方法です。例えば、ある瞬間にある星が天頂(頭の
真上)に見えたとします。このような状況になるのは、その瞬間に
地球上の1点だけです。そして、この星の住所(と時計)を使えば、
そこの緯度・経度を求めることができるのです。

天測航法は洋上でも陸上でも空でも宇宙でも使うことができます。
特に航海では目標物のない洋上でとても役に立ち、よく使われて
いました。

最近ではGPSなどを利用することができるようになったため、この
方法を用いる機会も少なくなり、現代では補助的な方法として、
使用される程度となっています。また、20年ほど前から海洋系の
学校でも授業を廃止するなど、古い知識のようになっています。

ですが、航海中に故障などが原因で、GPSなどの機器が機能しなく
なったらどうでしょう?
陸地が見えていれば何とかなるでしょうが、陸も島も見えない海の
ど真ん中に取り残されていたら大変です。時間が経てば経つほどに
自分の場所が分からなくなってしまいます。

この時、天測航法の知識と準備ができていれば、何の心配もなく、
航海を続けることができます。必要な道具は、正確な時計、角度を
測る機器(六分儀など)、天体の位置表、計算表、地図です。
知識も技術もそんなに難しいものではありませんので、誰でも
練習すれば、覚えられる方法です。

だんだんと重要度が下がっていたこの技法ですが、ここのところ、
改めてその重要性が認識され、授業を復活させる動きもあるよう
です。みなさんも星を観て自分の場所を知る方法に、1度はチャ
レンジしてみてはいかがでしょうか?






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