みなさんは、土星が何年かけて太陽の周りを1周するか知っていますか?
実は、太陽と土星の間の距離が分かれば、この問題が解けてしまいます。
※惑星に比べて太陽が圧倒的に重たい場合です。また、ここでは、
地球と太陽の関係を基にして考えています。
考える式は、
(太陽からの距離)^3 [AU^3] ÷(太陽の周りを回る時間)^2 [年^2] =(一定)
です。この式はケプラーの第三法則と言います。
ここで、“AU”は天文単位(Astronomical Unit)といい、太陽と地球の間の距離
(約1億5千万km)を1として考えた時の距離の表し方です。例えば、5[AU] とは
太陽と地球の間の距離の5倍のところ、1.5×10^8 ×5 = 7.5×10^8 [km] のこと
です。
では、計算してみましょう。土星が太陽の周りを回る時間をPとします。
太陽と土星との距離は太陽と地球の間の距離の10倍、つまり10[AU]です。
地球の場合、
(太陽からの距離)^3 ÷(太陽の周りを回る時間)^2 =(一定)
1^3 [AU^3] ÷ 1^2 [年^2] =(一定)
土星の場合、
(太陽からの距離)^3 ÷(太陽の周りを回る時間)^2 =(一定)
10^3 [AU^3] ÷ P^2 [年^2] =(一定)
両方とも太陽に対しての関係ですので、
(地球の場合)=(土星の場合)
となるはずですから、
1^3 [AU^3] ÷1^2 [年^2] = 10^3 [AU^3] ÷ P^2 [年^2]
1 [AU^3/年^2] = 1000 [AU^3] ÷ P^2 [年^2]
P^2 [年^2] = 1000 [年^2]
となります。
答えは同じ数字をかけると1000になる数字です。
およそ30ですね(30×30=900)。
ということで、土星は太陽の周りを約30年かけて回っているということです。
もちろん、他の惑星の1年を求めたり、逆に太陽の周りを回る時間から、
太陽との間の距離を求めたりすることもできます。
たくさんチャレンジしてみてください。
両辺にかけるあたりで苦戦しましたが、無事解けました。地球と他の惑星では大きさも組成も全然ちがうのに、そんなシンプルな式で表せてしまうことに感動です!
調べてみたら各惑星までの距離は法則があると知って驚きました。宇宙は偶然の重なりのようでいて、法則で示せたりと、とても奥深いんですね。
ところで、昔の人はこの数式を使って距離か公転周期を割り出したんですか?それとも先にわかっていて、あとから数式ができたのでしょうか??
チャレンジをありがとうございます。
そうですね、とてもシンプルで美しいと思います。
各惑星までの距離の法則とは「チチウス・ボーデの法則」
のことでしょうか?もしそうでしたら、これは太陽系だけに
限った偶然の式という見方が強いので、ご注意を!
式ができてからです。といっても、太陽系内の天体の
どれか1つでも距離、もしくは周期が分からないと解け
ないので、どこか1つは式を使わずに、観測によって
知らなければなりません。また、距離を測るのはとても
難しいので、正確な値が出せるようになったのは後々
になってからです。(概算はいくらでもできます)
ありがとうございます。
式はまさにそれです。太陽系に限った偶然説が強いんですね、勉強になりました。偶然と必然の見極めもまた、とても大切なんですね。
式が先なら、これはそれこそとても大切な式なんですね。地球という一点のみから距離を測るのはなんだか難しそうです。いつか機会があれば、そんな紹介もして頂けたら嬉しいです。
他の惑星系が見つかるまでは、僕たちの太陽系がスタンダードなのか特殊なのか分かりませんでしたから、ボーデの式も確認のしようがなかったということです。
まず、観測結果やケプラーの式などを使って、距離の比率だけはしっかりとした太陽系のモデルを作ります。
そして、1つの天体に対して電波反射などを使い、正確な距離を求めれば、全ての惑星について正確な距離を得られます。