呉市かまがり天体観測館

呉市かまがり天体観測館のブログです。
イベントや星空情報等を掲載していきます。

土星の1年

2015-11-06 14:08:56 | その他

みなさんは、土星が何年かけて太陽の周りを1周するか知っていますか?

実は、太陽と土星の間の距離が分かれば、この問題が解けてしまいます。
※惑星に比べて太陽が圧倒的に重たい場合です。また、ここでは、
 地球と太陽の関係を基にして考えています。


考える式は、

(太陽からの距離)^3 [AU^3] ÷(太陽の周りを回る時間)^2 [年^2] =(一定)

です。この式はケプラーの第三法則と言います。

ここで、“AU”は天文単位(Astronomical Unit)といい、太陽と地球の間の距離
(約1億5千万km)を1として考えた時の距離の表し方です。例えば、5[AU] とは
太陽と地球の間の距離の5倍のところ、1.5×10^8 ×5 = 7.5×10^8 [km] のこと
です。

では、計算してみましょう。土星が太陽の周りを回る時間をPとします。
太陽と土星との距離は太陽と地球の間の距離の10倍、つまり10[AU]です。

 地球の場合、
  (太陽からの距離)^3 ÷(太陽の周りを回る時間)^2 =(一定)
     1^3 [AU^3] ÷ 1^2 [年^2] =(一定)

 土星の場合、
  (太陽からの距離)^3 ÷(太陽の周りを回る時間)^2 =(一定)
     10^3 [AU^3] ÷ P^2 [年^2] =(一定)

両方とも太陽に対しての関係ですので、

  (地球の場合)=(土星の場合)

となるはずですから、

 1^3 [AU^3] ÷1^2 [年^2] = 10^3 [AU^3] ÷ P^2 [年^2]
   1 [AU^3/年^2] = 1000 [AU^3] ÷ P^2 [年^2]
   P^2 [年^2] = 1000 [年^2]

となります。

答えは同じ数字をかけると1000になる数字です。
およそ30ですね(30×30=900)。

ということで、土星は太陽の周りを約30年かけて回っているということです。

もちろん、他の惑星の1年を求めたり、逆に太陽の周りを回る時間から、
太陽との間の距離を求めたりすることもできます。

たくさんチャレンジしてみてください。







コメント (4)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 11月の流星群(2015) | トップ | 静止流星 »
最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (sawa)
2015-11-07 14:32:36
こんにちは。

両辺にかけるあたりで苦戦しましたが、無事解けました。地球と他の惑星では大きさも組成も全然ちがうのに、そんなシンプルな式で表せてしまうことに感動です!
調べてみたら各惑星までの距離は法則があると知って驚きました。宇宙は偶然の重なりのようでいて、法則で示せたりと、とても奥深いんですね。

ところで、昔の人はこの数式を使って距離か公転周期を割り出したんですか?それとも先にわかっていて、あとから数式ができたのでしょうか??
返信する
Unknown (かま天)
2015-11-07 16:16:43
sawaさま、こんにちは。

チャレンジをありがとうございます。
そうですね、とてもシンプルで美しいと思います。

各惑星までの距離の法則とは「チチウス・ボーデの法則」
のことでしょうか?もしそうでしたら、これは太陽系だけに
限った偶然の式という見方が強いので、ご注意を!

式ができてからです。といっても、太陽系内の天体の
どれか1つでも距離、もしくは周期が分からないと解け
ないので、どこか1つは式を使わずに、観測によって
知らなければなりません。また、距離を測るのはとても
難しいので、正確な値が出せるようになったのは後々
になってからです。(概算はいくらでもできます)
返信する
Unknown (sawa)
2015-11-11 13:53:14
かま天さま

ありがとうございます。
式はまさにそれです。太陽系に限った偶然説が強いんですね、勉強になりました。偶然と必然の見極めもまた、とても大切なんですね。

式が先なら、これはそれこそとても大切な式なんですね。地球という一点のみから距離を測るのはなんだか難しそうです。いつか機会があれば、そんな紹介もして頂けたら嬉しいです。
返信する
Unknown (かま天)
2015-11-11 17:10:53
sawaさま

他の惑星系が見つかるまでは、僕たちの太陽系がスタンダードなのか特殊なのか分かりませんでしたから、ボーデの式も確認のしようがなかったということです。

まず、観測結果やケプラーの式などを使って、距離の比率だけはしっかりとした太陽系のモデルを作ります。
そして、1つの天体に対して電波反射などを使い、正確な距離を求めれば、全ての惑星について正確な距離を得られます。
返信する

コメントを投稿

その他」カテゴリの最新記事