呉市かまがり天体観測館

呉市かまがり天体観測館のブログです。
イベントや星空情報等を掲載していきます。

誰の髪?

2015-05-31 13:00:00 | 星空の楽しみ方


春の星空の中には面白い名前の星座があります。

それは、「かみのけ座(Coma Berenices)」です。





春の大三角にりょうけん座のコル・カロリを足して作る、「春のダイヤモンド」
のちょうど真ん中あたりに位置しています。
かみのけ座のあたりは肉眼で見ると星がまばらに集まっており、ぼやっとして
見えます。これが髪の毛に見えたのでしょう。





かみのけ座は綺麗な髪の毛を持つことで有名であった女王ベレニケが、
夫が戦いから無事に帰還したことに感謝して、神様に捧げたものです。

英語の表記では、ちゃんと「ベレニケの髪の毛」となっています。




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しし座

2015-05-30 14:22:26 | 星空の楽しみ方

今日は春の代表的な星座の1つである「しし座(Leo)」を紹介します。





北斗七星の柄の部分のカーブ(春の大曲線)を延ばすと見つかる、アークトゥールス、スピカ
という明るい2つの星が見つかったら、もう1つ星を足して、三角形を作ってみましょう。
最後に足した星はしし座のデネボラ(しっぽという意味)と言い、この三角形を「春の大三角」
と言います。

しし座は比較的形が分かりやすく、頭から胸にかけての部分には、“?”マークを裏返したような
星の並びである「ししの大鎌」があります。これがしし座の目印です。

胸のところには、1等星である「レグルス(小さな王)」が輝いています。この星は21個ある
1等星の中では最も暗い星ですが、太陽の通り道(黄道)にある唯一の1等星で、航海の目印
として使われてきました。青白色をしており、距離は約80光年です。





しし座は、勇者ヘルクレスと闘った、ネメアの森に棲む人食いライオンです。
このライオンは矢を跳ね返すほど頑丈な体をしており、人々から大変に恐れ
られていました。王様に退治を命じられたヘルクレスは、力づくで三日三晩
首を絞め続け、やっと倒すことができました。


これで、春の大三角もできましたね。

春の大曲線、春の大三角ときたら、次は「春のダイヤモンド」を作ってみましょう。








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惑星がたくさん

2015-05-29 13:47:44 | 星空情報

夏至まで1ヶ月をきり、星が見え始める時間が随分と遅くなっていますが、
ここ最近は、惑星を見るチャンスです。

現在、午後8時頃には、金星、木星、土星が空に輝いています。

金星は満ち欠け、木星は縞模様と衛星、土星は環など、それぞれ特徴的な
姿を観察することができます。

かま天では、あと1ヶ月ほどはこの状態が続きますので、一気に惑星を
観察したい方は、今のうちにかま天へお越しください。


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木星の重さ

2015-05-28 14:21:29 | その他

昨日のブログで紹介した木星の衛星エウロパは、木星から約67万km離れた
ところを約3.6日かけて回っている天体です。

実はここから、木星の質量を知ることができます。

木星の質量は。
 (木星の質量)=(木星とエウロパの距離)×(エウロパの速度)×(エウロパの速度)÷(重力定数)
で計算できます。

-----------------------------------------------------------------------
ここでは、○○の○乗というのを、“ ^ ”という記号を付けて表します。
例えば、2の3乗は“2^3”、10の5乗は“10^5”という具合です。

○○の○乗というのは、「○○を○回掛けてね」という意味です。
上の例で言えば、
 2の3乗 = 2^3 = 2×2×2 = 8
 10の5乗 = 10^5 = 10×10×10×10×10 = 100,000
です。

10の○乗の場合、簡単に言えば、「ゼロが何個付きますよ」という意味です。
つまり、10の5乗はゼロが5個付きますよという意味ですから、100,000と
なります。
(マイナス○乗も0.000…というゼロが何個付きますよという意味、または
 小数点が○個分移動しますよという意味です。)

ここはとても大事で、これが分かると大きな数字も難しくなくなります。
-----------------------------------------------------------------------

さて、計算に戻りましょう。
※計算にはメートル[m]、キログラム[kg]、秒[s]の単位を使います。

今、求めたいのは、木星の質量です。

分かっている情報は、
 ・重力定数       : 0.000000000067 [m^3/kg/s^2] = 6.7×10^-11 [m^3/kg/s^2]
 ・木星とエウロパの距離 : 670,000 [km] = 670,000,000 [m] = 6.7×10^8 [m]
 ・エウロパの公転周期  : 3.6 [日] = 3.6×24×60×60 ≒ 310,000 [s] = 3.1×10^5 [s]
です。

あとは、エウロパの速度が分かれば、木星の質量が求められますね。

エウロパが木星の周りを1周する道のりは、円周の計算から、
 (1周の道のり) = (半径) × 2 × (円周率)
          = (木星とエウロパの距離) × 2 × π
          ≒ 4.2×10^9 [m]

この距離を3.6日かけて移動するのですから、速度は、
 (エウロパの速度) = (道のり) ÷ (時間)
           = 4.2×10^9 ÷ 3.1×10^5
           ≒ 1.4×10^4 [m/s]

これで、準備が整いました。

木星の質量を計算してみましょう。

 (木星の質量)=(木星とエウロパの距離)×(エウロパの速度)×(エウロパの速度)÷(重力定数)
        = 6.7×10^8 × 1.4×10^4 × 1.4×10^4 ÷ 6.7×10^-11
        ≒ 2×10^27 [kg]

という答えがでました。

実際の木星の質量は1.898×10^27[kg]ですので、バッチリですね。
これも小学校で習う算数で計算自体はできるのです。
(どうしてこういう式になるのかは高校の物理でお勉強します)

知っている情報から、知らない情報を導き出すことができるなんて、
人間の智慧と言うのは、本当に素晴らしいですね。



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エウロパにお塩!?

2015-05-27 14:28:38 | 天文ニュース

木星には67個もの衛星が見つかっており、そのうちの大きな4つ(イオ、エウロパ、
ガニメデ、カリスト)をまとめて、ガリレオ衛星と呼んでいます。

ガリレオ衛星は双眼鏡でも確認することができます。

ガリレオ衛星の1つであるエウロパは月より少し小さいくらいの大きさで、
木星の周りを約3.6日かけて1周します。

表面にはひび割れのような筋がたくさん見つかっていますが、これがどんな
物質からできているのかは、よく分かっていませんでした。

今回、地上の実験室で、エウロパに似た環境を再現して実験を行ったところ、
‐173℃の真空中にある塩に放射線を当てると茶色に変色し、エウロパの筋模様
で観測されるものと同じようなデータが得られました。

また、放射線にさらすほど色が濃くなることも分かり、筋模様の年代測定に応用
できる可能性もでてきました。

エウロパの表面を覆う氷の下には海が存在すると考えられており、海から噴き出た
物質が筋模様を作っているとなると、氷の下にある海の様子も知ることができそう
です。

もしかしたら、エウロパの海には生命体が存在しているかもしれませんね。



(画像:NASA/JPL-Caltech/SETI Institute)



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