2019年秋頃~2020年春頃まで一時的に暗くなったオリオン座のベテルギウス。
一部では超新星爆発の兆しかといわれていましたが、どうやらベテルギウスが
爆発するのはまだまだ先のようです。
ベテルギウスは狩人であるオリオンのちょうど肩の部分に位置する1等星で、
肉眼では赤っぽく輝いて見えます。もともと明るさの変わる星(変光星)で、
星としての一生を終えようとしている段階に入っており、最後には爆発
(超新星爆発)をしてなくなると考えられています。
爆発が起きると、地球からは半月ほどの明るさで見え、3ヵ月ほどをかけ
ながら、段々とその輝きが暗く、赤くなっていくと予想されています。
ただ、最終段階に入っているとはいっても星の世界の時間スケールは私たち
の感覚よりとても長いので、爆発が起きるのは今日この瞬間かもしれないし、
明日かもしれないし、1万年後かもしれないといった感じです。
今回、オーストラリア国立大学のMeridith Joyce氏を中心とする国際研究チーム
がベテルギウスの明るさの変化を詳しく分析したところ、現在はまだ中心部で
ヘリウムの核融合が起こっている段階であり、超新星爆発を起こすのは10万年
以上先であると結論付けられました。また、昨年の減光は、星の脈動と星から
放出された塵が原因だと考えられることが分かりました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/32/26/94cd325f608cbd0529e7098fd153f036.jpg)
上段:ヨーロッパ南天天文台の超大型望遠鏡で直接撮像された2019年1月と12月のベテルギウス (Credit: ESO/M. Montargs et al.)
下段:最近のベテルギウスの光度変化の抜粋(Credit: L. Molnár, AAVSO, UCSD/SMEI, NASA/STEREO/HI)
さらに今回の研究ではベテルギウスの質量、大きさ、距離も推定され、従来の
研究結果よりも値が小さいことが明らかになりました。
導き出された値は、
質量:太陽の16.5~19倍
半径:太陽の750倍
距離:530光年
です。
残念ながら私たちがベテルギウスの最後を目にする可能性は遠のきましたが、
美しいオリオンの姿はまだまだ見ることができそうです。
今度、夜空を見上げる機会があったら、ぜひ、ベテルギウスに注目してみてください。