「家」 @ 鎌倉七里ガ浜 + 時々八ヶ岳

湘南七里ガ浜(七里ヶ浜とも)から発信。自分の生活をダラダラと書きとめるブログ。食べ物、飲み物、犬の話題が多い。

「野生のエルザ」な生活

2009-07-01 10:10:16 | 家の遍歴
「野生のエルザ」のお話をご存じだろうか。ジョイ・アダムソンが半世紀ほど前に書いた作品で、数年後にはヴァージニア・マッケンナやビル・トラヴァーズが主演して映画化された。ケニアの乾いた風景や動物と人間との交流を楽しめるけれど、最後の方に行くにしたがって涙を流さずにはいられなくなるストーリーである。原題は「Born Free」。中学生の時、文法的に理解出来なくて困ったことを記憶している。短くbornとfreeという2単語だけを並べられても、それぞれの品詞、あるいは2語の相互の文法的関係がわからなかったのである。この物語に出て来る雌ライオンの名前であるエルザ(Elsa)と、例えばベティー(Betty)という2つの名前は一見別の名前だが、その他のものも含めて全部が同じ1つの名前の愛称にすぎないということを知ったのもこの時だ。



本日の話題は実はこの野生のエルザとは何の関係もない。原題の「Born Free」と、無借金な状態を指す「Loan-free」を引っかけただけの話だ。このブログですでに紹介したとおり、私はバブル崩壊の頃からこれまでに7軒の家を建てて来た。自宅、親の家、山荘・・・7軒全部を今も所有していたら尊敬に値するが、そんなことは私には出来ない。7軒の家を建てる都度、毎回毎回自分でローンを借りて土地を買い家を建てているので、不要になったら売却してローンを返済して銀行に抵当権を抹消してもらわねばならなかったからだ。土地建物を売るたびに損をした。この20年間日本の不動産価格はほとんど下がり続けていたわけだから当たり前だ。親の家を建てた時も多額のローンを強いられたが、父が死に家が不要になりつい先日それを売却したら、売却価格は購入にかかった費用の40%に満たなかった。ものすごい損失を蒙ったのである。今私の手元にあるのは、七里ガ浜の自宅と八ヶ岳西麓の山荘だけだ。

しかしこの20年ほどの間に、もしすべての日本人が私のような行動を取っていたら、平成不況もなかったであろう。地価ももう少し安定的に推移し、もっと景気は良かったはずである。建設業界も潤い、無駄な公共事業に頼ってばかりおらずもう少し自立的であったはずだ。私の度重なる引っ越しで運送業界も潤ったし、家を建てている間に仮住まいをするので家主も喜び、繰り返される売買で不動産業界の仲介手数料増大にも私は貢献し、抵当権の設定やそのキャンセルや登記手続きで司法書士も何度も潤った。また売る時買う時共に契約書が交わされ、それには多額の収入印紙を貼ったし、不動産取得税は買う度に支払い、固定資産税も保有期間中ずっと支払い、納税もスゴイのだ。


(Born Free orchestrated and conducted by John Barry)

私はまるで個人レベルでニューディール政策を推進しているようなもので、ほとんどフランクリン・ルーズベルト大統領並みだ。いやお金の出所が自分の労働の対価としてのサラリーであって、税金や後払いの税金(国債発行)を使っているだけという卑しさがない分もっと偉いかも(?)。

然るに・・・この20年間に7回土地建物のローンを借り、様々な手数料の支払いや元金と金利の返済を滞りなく行って来た私は、つまらないPR品を除くと、銀行から特に恩典を頂戴していない。一方で借りるだけ借りて返済も出来なくなり平気で開き直る企業には、銀行は債権放棄を積極的にして来た。銀行とは不思議なところであり、平然と顧客と公正でないつきあい方をするところだ。貸し込むのひどいし、その債権を放棄するのもひどい。そうやって助けてもらった企業もやがておかしくなり、そんなことをした銀行の一部までがおかしくなると、今度は銀行に税金が投入されたりする。まったく不公平な話である。個人のリスクで自己資金を使い私はニューディール政策を推し進めているというのに(くどいか?)、他方で債務を堂々と免除されたり、税金で生きながらえる企業がある。そんなことしていたら世の中のモラルが崩壊してしまうではないか。事実崩壊しているが。



さて、昨日私は10万円を超える繰り上げ返済手数料を銀行に徴収され、自宅のローンを全額返済した。

ローンを借りる時に物件を抵当に抑えられた(その司法書士の費用はこちらの負担だ)上で、さらに保証料やらなんやら手数料がかかり、返済期間中は金利もとられ、繰り上げて返済するとまた「繰り上げ返済手数料」というペナルティーがかかるのだ。ぶったくりである。そして今度は抵当権をはずしてもらうのに、また司法書士に手数料を払わねばならない。私はこれを7回やって来た。しかしとにかくここ20年間続いたローン返済生活をやっと終えたわけである。ローン・フリーな生活が始まるのだ。自分が撒いた種ではある。しかしローンの重圧を長年経験しておられない方々には、この自由な気分はわかるまい。

野生のエルザの原題「Born Free」は同名映画の主題歌のタイトルでもある。歌詞をご存じの方も多いと思う。

Born free
As free as the wind blows
As free as the grass grows
Born free to follow your heart (以下省略)

というのであるが、このBornをLoanに置き換えると意味もそのまま通じ、リズムも乱れず語呂もよく歌え、そのまま今の私の気分をずばり表現してくれる。ということで、好きなアンディ・ウイリアムスのCDをかけて昨日から「Born Free」ならぬ「Loan Free」を熱唱している。今後は私を「エルザ」とお呼び下さい。

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コメント (13)
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