「家」 @ 鎌倉七里ガ浜 + 時々八ヶ岳

湘南七里ガ浜(七里ヶ浜とも)から発信。自分の生活をダラダラと書きとめるブログ。食べ物、飲み物、犬の話題が多い。

八ヶ岳西麓梅雨明け後の滞在(8) 八ヶ岳森林軌道

2009-07-25 22:38:27 | 八ヶ岳西麓の楽しい暮らし
八ヶ岳森林軌道というモノがあったらしい(1947年廃止)。それがかつて存在していたことを私は長い間まったく知らなかった。しかし2年ほど前から原村ではこの話題で盛り上がることがあって、私もさすがに気づいた。「アルピコ四季の森」という別荘地があるが、その管理センター前では往時の軌道の様子を復元させ、皆に見せていた。

原村の役場もこの復元に熱心なようだ。専門部会もあるし、募金活動も行われている。村内のあちこちにこの本(下の画像)が置いてある。「郷土の文化財第3集 よみがえれ、八ヶ岳森林軌道」という本で、原村「よみがえれ、八ヶ岳森林軌道」専門部会と原村の教育委員会による編集となっている。



この森林軌道は全長19.36km。現在の中央道より遥か下にあった「富士見土場」(標高980m)を起点に、えっちらおっちらなだらかな八ヶ岳西麓を斜めに横切るように登り、富士見町と原村を通り抜け、終点「南沢軌道終点積込」に至る。この終点は美濃戸登山口(茅野市)の上に位置し、標高は1800mくらいだろうか。その周囲の御料地(戦前の皇室の財産林)で伐採した針葉樹を、そこから軌道を使って運び出したらしい。



上の地図を見ると、軌道の原村内の通過点がわかる。赤い線が軌道跡である。等高線に対し、45度くらいで交差して線路が付けられていたのだ。軌道跡は、四季の森別荘地(黄色線)の管理センターの前あたりで、現在の鉢巻道路と交差し、三井の森(青色線)の管理センター付近も通過していたと読める。

軌道跡自体はやたら長いのだが、その中で原村の別荘族にとって一番親しみやすいスポットは「10km駅」(白線)だ。



軌道の起点である「富士見土場」からこのスポットがちょうど10kmであったことから「10km駅」の名がついたらしい。これは現在で言うと、原村のペンション・ビレッジ南側の幹線道路と、鉢巻道路が交差する場所である。丸山別荘地の入口にあたり、四季の森別荘地の管理センターの前でもある。場所は今も簡単に確認出来るようになっているから、興味のある方は是非訪問してみて欲しい。

当時の写真(1946年の「10km駅」周辺)にあるように、「駅」と言っても何かがあったわけではない。私がこの写真を見て驚くのは、当時この周辺が高原というか、草原というか、とにかく高木がまったくない状況であることだ。せいぜい人の高さくらいの木々しか、写真内には見当たらない。



ところが道路や別荘などの開発をしない限り、現在このあたりは、広葉樹(シラカバ、ナラ、サクラ、カエデ等)に加えカラマツばかりがやたらと多い、上の画像のような森である。1946年当時の写真にそれらが一切見られないと言うことは、現在見られる大木は、すべて戦後植林されて(あるいは場合によっては自然に)育ったものということか。

そうであるのなら、カラマツばかりでなく、もっといろいろと美しい広葉樹を植樹して頂けたら有難かったのに・・・。とは思うが、それは日本の戦後の森林運営政策がそうだったのだから今更どうしようもなく、全国の多くの山と似たり寄ったりの状況を甘受するしかない。それでも鉢巻道路沿いの部分についてはそれを変えようという動きも見られている。



八ヶ岳森林軌道と同時代の「歴史のお勉強」シリーズということで取り上げたのが、上の諏訪鉄山。企画展が茅野市八ヶ岳総合博物館で開催中である。期間は本年10月4日まで。博物館所在地は茅野市豊平6983。なかなか楽しい博物館だ。
コメント (2)
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