ペンギン夫婦の山と旅

住み慣れた大和「氷」山の日常から、時には海外まで飛び出すペンギン夫婦の山と旅の日記です

私の関西百山(6) 赤兎山

2013-10-25 08:58:30 | 私の関西百山

赤兎山(1628.7m)  <両白山地>

【あかうさぎやま】加越国境(石川県白峰村と福井県大野市、勝山市の境)にあり、白山山帯に属する展望にすぐれた山。山頂部に高層湿原がある。なだらかな山容をウサギになぞらえた山名というが、なぜ「赤」が付いているのか…?

<白い残雪にウサギの色は…>

千日山歩渉会(町内と近郊の人で作っている山の会)恒例になっている「十二支の山」、今年は加越国境の赤兎山に登り、白峰温泉で汗を流す計画である。登山口のある林道終点のお地蔵さんに、消防署の人が花を供えていた。今年は雪が多く、昨日やっと車でここまで来られるように整備されたそうだ。3日ほど前に歩いて登ってきた人は、雪で小原峠から先へは進めなかったとも聞いた。長い林道を歩かずにすんだ幸運と、開通作業の人たちの苦労に感謝して歩き出す。

 大長山を背に稜線を行く

明るい林の中を登るうちに次第に雪が多くなり、ときどき踏み抜いて、深いところでは腰まで埋まってしまった。雪の重さで倒れた木を跨いだりして結構、時間がかかる。小原峠は美しい新緑の真っ只中にある。直進すれば西俣谷に下る道、左に大長山への道を分け、赤兎山へは右に直角に曲がる。ここから上はずっと真っ白な雪の斜面。踏み跡も目印も全くないので、ともかく主尾根と思われるところを直登する。ずっと続くブナ林の中でもとりわけ見事な大木の処で振り返る。峠は遙か下になり、その向こうに大長山のピークが見事だ。新緑のブナの梢越しに、まだら模様の白山連峰が青空に浮かんでいる。

ここから胸を突く急斜面をキックステップで登る。幸い雪が柔らかいのでスリップの心配はない。やや勾配がゆるむ頃、土の道にでて同時に傍らの木に赤いビニールテープを見る。ルートが正しかったことに自信を持って、再び雪の斜面を登る。大舟山分岐にくると前方左手に赤兎山の丸みを帯びた頂が見える。ここからは笹原の中、雪の上と土の道が交互に出てくる。気持ちよいそよ風に吹かれ、左手に白山連峰を眺めながらのんびりと尾根を辿る。ウグイスの鳴き声が聞こえる。マンサクが満開の小さなピークを越し、少し行くと赤兎山頂上。遮るもののない眺望が待っていた。

文字通り360度の大展望をほしいままにする。まずは何と言っても、北東から真東にかけての白山連峰。左端の御前峰からいったん下って次の高みの別山へ。三ノ峰、二ノ峰、一ノ峰の連なりは真東に距離が近いだけに主峰に劣らず堂々としている。手前には願教寺山から野伏ヶ岳への稜線。南西に荒島岳が青く浮かび、その右手・西に少し離れて経ヶ岳の姿が大きい。われわれだけで独占するのが勿体ないような豪華な展望を肴に、冷えたビールを飲む。最高に幸せなひととき!

 赤池まであと僅か

食後は赤池まで散歩に行く。正面に白山を見ながら残雪を踏んで笹原を下る。雪の上に動物の糞が落ちている。兎かな?と思っていると雪面との境から笹原へピョンと飛び込む姿があった。山の名と違って灰色のウサギだった。湿原には花の姿はなく、ニッコウキズゲの咲く夏の景色を想像するばかり。…頂上に帰りコーヒータイムを過ごして元の道を下る。

快晴に恵まれ、われわれだけで貸し切りの展望と花の一日だった。そのフィナーレにふさわしく、帰りの林道では往路には気づかなかったサンカヨウの大群落がミヤマキケマン、ニリンソウ、スミレなどの花に混じって私達を見送ってくれていた。(1999.5.14)

【コースタイム】登山口10:50…小原峠11:40~11:50…大舟分岐12:30…赤兎山12:45~13:35…中俣谷源頭13:50…赤兎避難小屋14:00~14:10…赤兎山14:30~14:55…小原峠15:35…登山口16:15