ペンギン夫婦の山と旅

住み慣れた大和「氷」山の日常から、時には海外まで飛び出すペンギン夫婦の山と旅の日記です

カムチャッカ・アバチャ山(5)

2008-08-03 10:24:43 | 山日記


「悪魔の指」の少し先はコルになっていて、大きなゴミ箱のような金属の箱が置いてあります。地震観測機材が入っているようです。コルの左側はすっぱりと切れ落ちて、小槍のような形の岩峰と氷河が見下ろせます。
推定標高2250m。14時15分。頂上まであと標高差500m、ここからが正念場です。崩れやすい砂礫のジグザグの登りになり、カメラはザックにしまい写真を撮る余裕もなくなりました。
登頂を終えたひとが次々と下ってきます。大股で砂煙を巻き上げ駆け下りるので、頻繁に落石が起こり、その度に「バニ!」と大声で知らせます。どうやらロシア語で石のことのようです。先行した同じツァー会社の別パーティも下ってきました。

ジグザグの粗い砂礫の道が急斜面の直登になり、まさに「三歩歩いて二歩下がる」状態になりました。後ろに続くメンバーに迷惑を掛けまいと気は逸るのですが、如何せん足が思うように前に出せません。最後の100m程は細い布ロープがついています。外側が剥けて中の芯だけが残る頼りない状態で、左側の斜面に切れた残骸が捨ててあるのが見えます。しかし、この細い「蜘蛛の糸」がまさに「頼みの綱」で身体を山側にして少しずつ前進。途中で金髪の少年がうずくまっていました。若い人でもシンドイんだな、とか老骨を励まして、立ち止まって息を整えては足を動かします。

ロープが終わると、TLが笑顔と握手で迎えてくれました。まだ先があると思っていましたが、ロープの終わったところのすぐ横が山頂でした。時間はなんと17時。



山頂は火口壁の一角で、富士山の登山道でいえば富士宮頂上にあたるところです。
(写真の左側から登ってきました。右側は火口で盛んに噴煙が上がっています。)



仲間の入れてくれた暖かい紅茶を頂いて、後の岩に登りました。
右はロシアのYMCAのような団体に同行したTV取材班。



しばらく休憩後、全員で少し先の最高峰とおぼしきところまで行ってみることになりました。
富士でいえば剣ヶ峰へのお鉢巡りです。



最高峰頂上から火口を覗きこんだ写真です。岩肌に黄色い硫黄の華がつき、風で噴煙が流れてくると硫黄の匂いが鼻につきます。



2741M峰を背に。ここから見ると、あっちが高いようにも…
17時40分、すぐに引き返して下山にかかります。(続く)