★ 半年にわたる土日特訓が終了。ほっと一息。あとは塾生の健闘を祈るのみ。
★ さて今日は、川﨑秋子さんの「ともぐい」(新潮社)を読み終えた。直木賞受賞作。「さすが」と思える読み応えだった。
★ 北海道の山奥で猟を生業としている熊爪という男が主人公。自分がどのような生い立ちなのかは知らず、気がついた時には養父に従って猟の腕を磨いていた。熊爪の成長を見届けると養父は彼のもとを去り、その後、熊爪は孤独に鹿や熊を撃って生きていた。
★ 見どころは、自らに瀕死のけがを負わせた赤毛の熊との死闘シーンだ。
★ 動物と人間との死闘は「大造じいさんとガン」(椋鳩十)や「海の命」(立松和平)を思い起こさせる。
★ 死闘シーンまでが第1部、その後が第2部という感じか。「あしたのジョー」流に言うと、燃え尽きて真っ白になってしまった熊爪。町から子を孕んだ娘をもらい受け、彼女が子を産んだ後は自らの子を孕ませる。とはいえ、安穏な家庭など築けない熊爪は、思いもかけない最期を迎える。
★ 生きるということがどれほど生々しいことかを感じさせられた。