じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

眞邊明人「もしも徳川家康が総理大臣になったら」

2024-04-10 14:42:27 | Weblog

★ 近隣の小学校では昨日が入学式。そして今日は中学校で入学式だ。

★ さて今日は、眞邊明人さんの「もしも徳川家康が総理大臣になったら」(サンマーク出版)を読んだ。

★ かつてヒットした「もしドラ(もし高校野球のマネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」や、最近言われだしてきた「もしトラ(もしもトランプ前大統領が再びアメリカ合衆国大統領に返り咲いたら)」という言葉があるから、この作品も略称で呼ばれるようになるかも。

★ 室積光さんの「史上最強の内閣」(小学館文庫)では、国家が危機に瀕したとき、現内閣が京都に隠されていた本物の内閣に政権を譲るという話だった。

★ 「もしも徳川家康が総理大臣になったら」は、新型コロナウイルスにより内閣総理大臣を始め主だった政府高官が病死。後継に困った国会は後継選びを天皇に一任し、その結果、AIとホログラムによって生成された歴史上の人物が、疫病対策を目的に内閣を編成するというもの。

★ 内閣総理大臣に徳川家康、官房長官に坂本龍馬、経済産業大臣に織田信長、財務大臣に豊臣秀吉、外務大臣に足利義満、総務大臣に北条政子、防衛大臣に北条時宗を配するというから奇想天外だ。

★ 彼らがまず打ち出した方針はロックダウン。その期間の国民の生活を支えるために全国民に1人あたり50万円の生活給付金(「太閤給付金」という)の支給を、それも10日間で支給するという。財源は当面国債(「安土国債」という)で賄い、後に都市の再開発や万国博覧会などのイベントで収益を増やすという。

★ 果たして、この内閣は国民の支持を得られるのか。コロナ禍が一応の収束を見た後、北条政子の名演説を機に、総選挙が行われる。

★ この作品を読んで感じたのは、1つ目は、現行の法令という制約はあるがその中での徹底したトップダウンだ。カリスマゆえの為せる業か。もはや欲や損得に縛られないホログラムゆえの特性か。

★ 2つ目は、ユヴァル・ノア・ハラリ氏による「ホモ・デウス」(河出書房新社)という作品で学んだが、人間の思考や行動も所詮はデータの集積からくるアルゴリズムで、それはAIで代用できるということ。AIが支配する近未来を予想させる。

★ 3つ目は、歴史上の人物が生成できるならヒトラーやスターリン、毛沢東も再現でき、またイエスや釈迦も現れるということか。何か凄い世界が出現しそうだ。

★ 何はともあれ、発想が面白かった。

☆ 追記。2024年(第21回)本屋大賞は宮島未奈さんの「成瀬は天下を取りにいく」(新潮社)に決まったという。この作品、確か宮島さんのデビュー作。読みやすさ、話題性では候補作中群を抜いている気がする。夏川草介さんの「スピノザの診察室」(水鈴社)、青山美智子さんの「リカバリー・カバヒコ」(光文社)は文庫化されれば読んでみたい。川上未映子さんの「黄色い家」(中央公論新社)は途中まで読んだ。力作だが、いよいよというところに至るまでが長い気がした。

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