じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

川西政明「『死霊』から『キッチン』へ」

2024-04-06 21:56:17 | Weblog

★ 今日は授業が2コマ(2人)しかなく、のんびりした日だった。あまりにのんびりしすぎて呆けてしまうのではと心配になる。

★ 今日の収穫は、川西政明さんの「『死霊』から『キッチン』へ」(講談社現代新書)を読んだこと。「日本文学の戦後50年」と副題にあるように、1945年から1995年までの文学界の変遷を具体的な作家、作品を上げながら解説している。著者の川西政明さんは河出書房新社の編集者から後に文芸評論家になられた方。

★ 戦後直後の作品。戦争でまさに死と直面した作家が描いた世界は凄みがある。武田泰淳の「ひかりごけ」や梅崎春生の「幻花」、椎名麟三の「深夜の酒宴」など読んでみたい。

★ 三島由紀夫の「金閣寺」や遠藤周作の「沈黙」、大江健三郎の「飼育」などはすでに読んでいるので、解説を読んで「なるほどなぁ」と思った。

★ 私が安倍公房の「壁」を読んだのは中学生時代。たまたま出会ったのだが、今から思えばすごい作品が私の読書の原点だ。「高橋和巳の死と共に70年代は終わった」と言われるが、高橋和巳の作品は好きだなぁ。「悲の器」「憂鬱なる党派」「邪宗門」は読んだ。「邪宗門」は大学生時代に読んだが、良かった。「三島由紀夫の殉教の美学、高橋和巳の破滅の美学」という解説に納得。

★ 第6章「春樹、龍、ばななから始まる」は、まさに私の愛する時代だ。ここで紹介されている村上龍の「限りなく透明に近いブルー」、村上春樹の「風の歌を聴け」、川西蘭「春一番が吹くまで」、田中康夫「なんとなくクリスタル。、中沢けい「海を感じる時」、干刈あがた「ウホッホ探検隊」、島田雅彦「優しいサヨクのための嬉遊曲」、山田詠美「ベッドタイムアイズ」、池澤夏樹「スティル・ライフ」、吉本ばなな「キッチン」。みんな読んだなぁ。

★ 村上春樹の「ノルウェーの森」と古井由吉の「杳子」を対比しているところは、なるほどなぁと思った。

★ 本書が書かれてから既に30年近くがたつ。その後の文学界はどう変わっていったのか、興味がそそられる。

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