★ 新年度が始まった。コロナ禍が一段落し、学校では何年かぶりに離任式が行われた。大学や企業では入学式や入社式が行われたようだ。
★ 受験が終わり、この週末は嘘のようにのんびりした。のんびりしすぎて、生活リズムが狂い気味。折込チラシを新聞販売所に持ち込み、映画「キングスマン ファースト・エージェント」を観て、あとはだらだらと過ごした。
★ NHKの「笑わない数学」から「カオス理論」の回を観て、三体問題とはこういうことなのかと思ったりした。
★ 暇になると読書も滞り気味になる。忙しい時の方が読み進めるのが不思議だ。小池真理子さんの「玉虫と十一の掌篇小説」(新潮文庫)から「声」と「いのち滴る」を読んだ。
★ 「声」は、男が、容姿は醜いが美しい声を持つ女を監禁する話。籠の中の鳥のように。
★ 「いのち滴る」は、ある女性の業の深さを感じる話だった。女性の両親は彼女が幼い頃に離婚。それぞれが新しい家庭をもった。父親が再婚した相手には幼い男の子がおり、女性にとっては義理の弟だ。母親は再婚した男と新しい事業を始めるとかで外国へと旅立ち、女性とは疎遠になっている。
★ 女性は、ある男の「子」を身ごもるが、この男に勤務先の社長の娘との縁談が持ち上がり、女と諍いが絶えなくなる。ある夜、男は女性と言い争った後、交通事故で死亡する。女性はショックからか流産する。
★ 女性は体調が戻らず悶々と日々を送っていた。そんな折、ふと、疎遠だった父親から電話があり、女性は父親が経営する旅館に身を寄せることになる。そこで成長した義弟と再会する、という話。
★ ある出来事をきっかけに、女性は再び活力を取り戻す。
★ 人生、その気さえあれば何度でもやり直せる。恵まれない環境のせいにして愚痴って日々を過ごすか、新たな一歩を踏み出すか。カオス理論のように、最初のちょっとしたズレが結果の大きな違いに至る。まさにバタフライエフェクトだ。そんなことを感じた。