じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

菊池寛「マスク」

2024-04-02 19:57:49 | Weblog

★ 春期講座7日目。残るはあと3日。ここ2日間は晴天が続き、どうやら明日は大荒れになるらしい。これを機会に桜の開花のきっかけになるかも。今年はちょうど入学シーズンに満開になりそうだ。

★ 菊池寛の「マスク」(青空文庫)を読んだ。志賀直哉が「流行感冒」を書いた同じ頃の話か。

★ 主人公の男性、外見は健康そうだが内臓は弱い。特に心肺が弱っているらしく、ちょっと運動をするだけで息切れがする。医者に診てもらったところ、差し当たっての治療は脂肪分が多い食品を避け、あっさりした野菜を食べればよいとのこと。食をこよなく愛する彼には実に過酷なアドバイスだ。

★ 時に流感が大流行。人々がマスクを装着し、彼もまたマスク、手洗い、うがいを励行する。

★ 季節が温かくなり流行が下火になるとマスクをする人々が減ってきた。そうした人々を横目に彼はマスクを続けていたが、さすがに初夏が近づくと煩わしくなってきた。

★ マスクを外し野球観戦に足を運んだが、そこで相変わらずマスクを装着している青年を目撃する。その姿を見て、何かしら不快感を覚えた主人公。頑なにマスクをつける青年の勇気に自分の弱さを感じてしまったという。

★ 数年前のコロナ・パニックが嘘のような毎日。マスクをする人もかなり減った。特に子どもたちはほとんどマスクをしていない。かつてはマスクをしていないと何か罪悪感を感じたが、そのうち、マスクをすることに違和感を感じるようになるのだろう。

★ これも集団圧力か。心理学に認知的不協和理論というのがあるという。自己の中に矛盾する2つの認知が現れた時、その不快感から免れるために体よく理屈をつけひとまずの安心を得るということらしい。マスクをつけるか否か。この迷いにも当てはまるかも知れない。

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