★ 大江健三郎さんの訃報に接し、大江さんの「死者の奢り・飼育」(新潮文庫)から「人間の羊」を読んだ。
★ アルバイト学生は、酔っぱらった外国兵たちとたまたまバスに乗り合わせてしまった。ささいなことからトラブルとなり、学生は下着をはがされ、尻をむき出しにされ、羊のように扱われる。
★ 外国兵の興奮はエスカレートし、学生以外にも何人かの男性が同じように尻を丸出しにされてしまう。
★ 外国兵たちがバスから降りた後、バスに乗り合わせて自らは犠牲にならなかったものの一部始終を見ていた教員が被害者の学生に警察へ訴え出るように言う。
★ 教員は彼を強引に交番に連れて行くものの、学生は口を閉ざしてしまう。教員は正論を述べるのだが・・・。
★ 加害者、被害者、傍観者。現代の「いじめ」にも似た構図を感じた。