じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

谷崎潤一郎「幇間」

2018-10-09 20:51:22 | Weblog
☆ 谷崎潤一郎「潤一郎ラビリンス Ⅰ初期短編集」(中公文庫)から「幇間」を読んだ。

☆ 日露戦争が終わって花街界隈が新華族や成金で賑わっていた時分、元相場師の桜井は宴会好きが度を越して、遂に太鼓持ちに弟子入りし、幇間「三平」としてデビューする。

☆ 「藝は出来るしお座敷は巧し」ということで、持ち前の天分を発揮し、御贔屓も増えてきた。

☆ そんな三平にも好きな女ができた。男勝りの芸者梅吉。三平は梅吉にからかわれ、いじめられるが、それがうれしくてたまらない。

☆ 彼のPriofessionalな笑い方が印象的だ。心の中で泣いていたのか、それとも快感を感じていたのか、それはわからない。


☆ サディスムとかマゾヒズムとか、谷崎の作品は人間の暗部というか深部というか、本源的なところに触れる。
コメント

太宰治「最後の太閤」

2018-10-09 17:42:54 | Weblog
☆ 太宰治の「地図 初期作品集」(新潮文庫)から「最後の太閤」を読んだ。太宰治15歳の作だという。

☆ 太閤・豊臣秀吉の臨終のシーン。表現に幼さは感じるが、大河ドラマの1シーン「太閤の最期」を見ているような気がした。

☆ 過ぎし日を回想し、それに一喜一憂する秀吉の表情が印象に残る。笑って死ねれば本望だろう。
コメント

映画「ゾラの生涯」

2018-10-09 03:50:42 | Weblog
☆ 映画「ゾラの生涯」(1937年)を観た。表題の通り、フランスの文豪エミール・ゾラの伝記映画だ。

☆ 屋根裏部屋で画家のセザンヌと同居しているゾラ、貧困の極致だ。勤めだした出版社は批判精神が警察ににらまれクビに。ふと知り合った娼婦のことを書いた小説が大ヒット。以降、政府や軍を批判した作品を書いたため彼らからは嫌われるが、ベストセラー作家となる。富と名声を手にする。

☆ そんなときドレフュス事件(フランス陸軍の将校が冤罪で流刑となる)に遭遇する。軍の上層部はやがてドレフュスの無実に気づくが、既に刑が確定した裁判をやり直すことによって軍の威信が失われることを恐れて隠蔽する。

☆ ドレフュス夫人は、冤罪をはらすようゾラに支援を求める。司法や軍に楯突くことは、自らも名誉棄損の罪に問われ、富と名誉を失うかもしれない。ゾラは悩むが正義感を抑えられず、軍の批判を始める。さて、どうなるか。

☆ 単なる伝記ならつまらないと思ったが、ドレフュス事件とかかわらせることによって、社会派の映画に仕上がっている。フランスの事件を取り上げているが、そこには司法や軍に対する批判のメッセージが込められている。

☆ ゾラを演じたポール・ムニの演説には迫力がある。
コメント