塵埃日記

つれづれなるままに、日々のよしなしごとなど。

空中庭園

2006年02月01日 | 書評
 三井住友が三大疾病に罹るとタダになる住宅ローンって宣伝していたけど、あれってどういう仕組みなんだろう。最近妻がやけに焦げた塩鮭を食わせるようになったご家庭とか増えたりしないか心配です。

 さて先日「空中庭園」という小説を読みました。映画化されるとかで書店に並んでいたのをふと買ってみたのですが、現在小説を読むのはかれこれ二年ぶりくらいです。
 舞台は恐らく八王子近辺。団地住まいの中の下くらいの家族とその周辺6人それぞれの主観的視点で章を立て、表向きは明るく和やかな家庭の内実を晒すというもの。僕の見る限りでは、主題は「扉を開け放つということは、その奥にさらに頑丈な扉を設けること」といったところでしょうか。外見上は巧くいっている一家の、それぞれの思惑と内奥が小気味良くまとまっていきます。
 ただ、僕の持つ価値観や人間観とややズレが大きかったのか、後半に入ると単調で失速気味に感じてしまいました。着眼が面白いだけに、もう少し文学的に煮詰められて良い作品だったのではないかと思うと残念です。
 ちなみに、作中しょっぱな出てくるラブホテル「ホテル野猿」は「やえん」と読んで(作中では「のざる」)、多摩地区では割と知られた老舗です。行ったことはありませんが。