見もの・読みもの日記

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2023年7月名古屋:徳川家康(徳川美術館)

2023-07-26 22:04:59 | 行ったもの(美術館・見仏)

徳川美術館名古屋市蓬左文庫 夏季特別展『徳川家康-天下人への歩み-』(2023年7月23日~9月18日)

 日曜から名古屋に行くことになり、調べたら、この夏季特別展の初日に当たっていたので、さっそく見て来た。今年の大河ドラマ『どうする家康』でも注目の集まる、徳川家康の生涯を紐解く。展示構成としては、はじめの第1~第5展示室は、いつもより家康に注目しつつも、それ以外の品々もそろえた名品コレクション展示。

 第1室、『三団子形馬標』は、関ヶ原合戦の時、家康四男の松平忠吉が使用し、忠吉の遺領を継いだ義直に譲られ、尾張家に伝えられたもの。初めて見たので珍しかった。刀剣と太刀拵が多数出ていて、マニアの女性で賑わっていた。私はどちらかといえば、火縄銃や口薬入(火薬入)のほうが興味深い。銃身に太陽神アポロを刻んだ火縄銃は、以前にも見たことがあるのを思い出した。茶道具、書画を見て、「大名の雅び」の部屋に『津島社祭礼図屏風』が出ていたのも嬉しかった。

 蓬左文庫の展示エリアは特別展の主要部分で、史料を中心に家康の生涯をたどる。家康・信長・秀吉・信玄らの書状や朱印状、合戦図屏風、陣立図など。60件近い史料のほとんどが徳川美術館か蓬左文庫の所蔵である。その中に森村宜稲筆『石合戦図』(明治~昭和時代)という絵画があった。大人に背負われた幼い家康が、石合戦の勝負の帰趨を当てた場面を描いたもので、私は歴史マンガで読んだ思い出がある。この説話、調べたけど出典は分からないようだ。

 徳川美術館エリアに戻って大展示室は、尾張徳川家に贈られた駿府御分物(家康の遺産)を中心に、政治と学問・茶や香道といった芸能などに焦点を当てる。今年の大河ドラマですっかり有名になった『薄水色麻地蟹文浴衣』も出ていた。カニ柄の浴衣は知っていたが、むしろ辻ヶ花染の小袖や羽織はおしゃれで驚いてしまった。『薄浅葱麻地下帯』は8メートル以上もあって、腰巻や腹巻を兼ねると説明されていたけど、どういうことなんだろう? 鹿革製の白足袋もあった。

 『花色日の丸威胴丸具足』は、青の地色にオレンジ系の赤色の大きな円(日の丸)がよく目立つ。唐突に「イギリス国王に贈った甲冑と同一の特徴」という解説があり、気になって調べたら、徳川家康・秀忠がイギリス国王・ジョージ3世に贈った『色々威胴丸具足』(イギリス王立武具博物館)のことらしかった。江戸博の特別展『大江戸の華』に出陳されたときに見ている。あと絵画ではおなじみの『母衣(ほろ)』も現物は初めて見たように思う。高級パジャマみたいな白のシルク製だった。

 書籍は金沢文庫伝来の『続日本紀』(巻本)、河内本『源氏物語』、駿河版(活字本)『大蔵一覧集』など。結果論かもしれないけれど、信長、秀吉と比べたとき、最も伝統に忠実でバランスのとれた文化人だったように思う。定家の書を好んで、学んでいたというのも面白かった。最後に『駿府御分物道具帳』そのものも展示されており、元和2-4年作成の原本らしかったが、紙が真っ白できれいなのが印象的だった。


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