見もの・読みもの日記

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2018年11月@関西:櫟野寺ご本尊大開帳など

2018-11-24 23:37:31 | 行ったもの(美術館・見仏)
〇油日神社~福生山 櫟野寺(甲賀市甲賀町)秘仏本尊十一面観世音菩薩大開帳(2018年10月6日~12月9日)

 櫟野寺(らくやじ)のご本尊大開帳に行ってきた。33年に一度の大開帳に合わせて、2016年6月から本堂と文化財収蔵庫(宝物殿)の改修も行われた。その間、2016年の秋から冬にかけて東京国立博物館で特別展『平安の秘仏-滋賀・櫟野寺の大観音とみほとけたち』が開催されたのは記憶に新しいところである。

 大開帳は33年に一度であるが、実は秘仏十一面観音のお厨子が開いたことは何度かあって、私は2004年に拝観に来たことがある。今から14年前だ。そのときは油日駅から40分ほど歩いたが、今回は大開帳期間に合わせて臨時バスが運行されているので、甲賀駅前9:56発のバスを利用することにした。



 祝日ということもあって車内はほぼ満席。10分ほどで櫟野寺に到着するのだが、1つ手前の油日神社で下りる。前回、櫟野寺を訪ねたときに立ち寄った神社で、記憶に残っていたので、再び寄ってみようと思ったのだ。私のほかにも数名が下車した。



 ホームページの由緒書によれば、ご祭神・油日大神の名前は記紀に見えないという。かえって古い信仰を残していて、尊いことに思われる。廻廊が取り付く中世の神社建築の形式を残す。拝殿には三十六歌仙の額。これは記憶になかった。



 楼門の裏側に積み上げられていた油缶。灯油缶かと思ったが「ごま油」「サラダオイル」の文字が見える。レトロなデザインのものが多かった。



 なお、ホームページの情報によれば、映画・ドラマのロケ地としてずいぶん使われているようである。大河ドラマ『平清盛』や朝ドラ『ごちそうさん』などでも使われた由。どの場面だろう? 神社に隣接する甲賀歴史民俗資料館の情報もホームページにある。白洲正子の著書『かくれ里』に登場する福太夫の面とずずい子人形、国友の鉄砲など、面白いものを見ることができた。管理人の方に「ここは新しいんですか?」と聞いたら「昭和55年からやっています」というお答えだったので、前回、私が来たときもあったのだろう。ただ、必ず毎日開館している施設ではないそうである。

 油日神社を後にして、田園風景を見ながら櫟野寺へ向かう。人家が途切れ、歩いている人の姿も見えないが、しきりに車が通るのでそんなに寂しくない。10分ほど歩くと、突然、山の中に人家の密集した集落が現れる。14年前、この風景に驚いたことは今でもよく覚えている。国旗と仏旗(六色仏旗)の翻っているところが目指す櫟野寺である。



 櫟野川に架かる観音橋を渡る。橋の左手は駐車場で、背中に法輪をつけた法被姿の人たちが交通整理をしている。油日神社の資料館の方が「朝から駐車場がいっぱいらしいですよ」と噂していたとおりだ。参道の入口にも華やかな仮設ゲート。



 本堂前のテントで拝観券を購入する。大きなにゃんこが椅子の上に座っていた。飼い猫ではなく近所の猫だそうだ。本堂の石段を上がり、中には入らず、赤い手すりのついた縁側をまわって、本堂の裏に続く宝物殿に入る。



 宝物殿の正面には、いきなり巨大な厨子があって、秘仏本尊・十一面観音さまがおいでになる。東博では厨子を出たかたちで展示されていたので、受ける印象が少し違う。厨子の直線に仕切られた感じも嫌いじゃない。ただ、頭上の十一面をはっきり見ることができたのは東博限りだったのだなあとあらためて思う。

 お厨子のまわりには、ご本尊以外の仏像が21体。この中には、ずっと東博に寄託されていた吉祥天立像も含まれる。東博の櫟野寺展で「奇跡の再会」を果たしたと思ったら、この大開帳のため、故郷にお戻りになっていたのだ。よかった。えっと大好きな毘沙門天像は?と探したら、あとのほう(厨子の右後方)にいらした。足もとの左右に小さな狛犬が座っていて可愛かった。あと白象もいた。宝物殿には若いお坊さんが待機していて、15分に1回くらい、ご本尊の像容を中心とした解説を繰り返してくれていた。

 櫟野寺に着いたのは10時半過ぎだったので、サッと拝観すれば11:25のバスに乗れるか?と思っていたが、周囲の混雑ぶりを見て諦めた。納経所にも長い列ができていた。ただ、待っている間、東博の特別展に向けて諸仏を搬出したときの記録映像が流れていたので飽きなかった。納経所では二人の女性がご朱印を書いていたが、だんだん列が長くなってきたので、黄色い衣を来たお坊さんも助けに入り、私はお坊さんに書いていただいた。

 次の12:25のバスまで少し時間があったので、奥書院の庭を拝見し、イベント広場の物販を覗き、すでにこのご開帳に来た友人に聞いていた近所の阿弥陀寺にも行ってみた。やはり平安時代の古仏を有するという話だったが、住職がいらっしゃる時だけ拝観が可能なお寺で、この日は人の姿がなかった。再訪を期したい。



 写真は臨時バスの記念乗車券(と櫟野寺境内案内図)である。「18→51」は今回の大開帳2018年と次回33年後の2051年を表す数字だ。ううむ、2051年はさすがに難しいだろう。中開帳あるよねえ。

 京都に戻り、慌ただしく三十三間堂(蓮華王院)に寄った。現在、博物館などに貸し出されていた千手観音像が里帰りし、26年ぶりに1001体が全て揃った状態であると、これも友人から聞いていたためである。また堂内には高さ1.2メートルの「秋雲壇」が設けられているともいう。壇は、中尊の左手(奥)に進んだところに2間ほどの長さで設置されていた。これに上がると、いちばん奥の列の観音さままで、はっきり顔が見える。見たことのない光景でとても面白かった。これ、ときどきやってほしい。

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