見もの・読みもの日記

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実力のコレクション展/花鳥の美(出光美術館)

2011-05-24 23:22:44 | 行ったもの(美術館・見仏)
出光美術館 『花鳥の美-珠玉の日本・東洋美術』(2011年4月23日~6月19日)

 「花鳥は、日本・東洋の美術作品の中で、最も愛された主題です」って、当たり前すぎて、テーマになってないだろ、と思って苦笑してしまった。でも、何度も言うようだが、実力のある美術館のコレクション展は楽しい。

 冒頭の伝・邊楚善筆『夏景聚禽図』(明代)から、え、これは初めて見るぞ!?と驚く。調べてみると、2010年の奈良県立美術館『花鳥画』展で見ているようだ。もしかすると2005年、根津美術館の『明代絵画と雪舟』でも見ているかもしれないが、出光美術館と結びつく記憶がなかったのだ。「身近にあった絵手本から別々に図様を抜き出してきたのでしょうか」という解説を読んで、パソコン上でコピー&ペーストするみたいなものか、と思った。竹の根元の左端の叭々鳥が眠そうでかわいい。

 隣りの、伝・雪舟筆『四季花鳥図屏風』。これも記憶にない。狭い画面に押し込められた、松・竹・牡丹・睡蓮の寄せ集め感が面白く、その奥に霞む池の小島が、ひろびろした山水にも見える。4羽の鳥は、見落としそうに控えめ。屏風のまわりには、花鳥モチーフのうつわ類を揃える。『織部千鳥形向付』はいいなあ。絵柄が伏せ籠に千鳥だと思ったら、皿の形も千鳥だった。

 次室。六面貼り交ぜの愛らしい『四季草花図屏風』に「喜多川相説」という作者名を見て、この間、根津美術館で覚えたばかりの名前だ、と思いあたった。低い視点が共通する。子供の写生画のような、素朴な親しみやすさがある。

 「富貴花(牡丹)の展開」と題した中国磁器のミニ特集は、さぞ暑苦しかろうと思ったら、青花や青磁刻花(耀州窯)など、アッサリ涼しげなうつわでまとめている。この意外性が心にくい。最後の明代の法花(三彩の技法。イッチン盛りとも)3点が面白かった。

 第3室。明末の画家・周之冕と伝える『鳳凰孔雀図』双幅は、鳳凰のフォルムが崩れており、樹木も粗略すぎることから、周之冕筆の可能性は低いという。要するに下手なのだが、画面上部の瑞雲など、変わっていて面白い。直感では、朝鮮絵画じゃないかなあ、と思う。『螺鈿双凰花鳥文衣装箱』は、まずデカさで人目を引く。ぐるぐる渦を描く螺鈿の瑞雲。正面の葡萄+リス文様もかわいいー。

 金襴赤絵、柿右衛門、仁清など、華やか系の磁器もいい。そして、桃山時代の無名の『吉野龍田図屏風』に唸った。私は、これ、見たことがあるだろうか? 2009年の『ユートピア-描かれし夢と楽園-』に出ていたようだが、記憶にない。根津美術館に同名同工の作品があるが、私はこっちのほうが好きだ。左隻の紅葉を切り裂くように直立する大木の幹は、いったいどこまで伸びているのだろう。右隻の桜花につつまれた幹は、暴れ龍のように見え、どちらも桃山の「乱暴力」を強く感じさせる。会場では、左隻(龍田図)の前に柿右衛門の色絵鸚鵡の番(つがい)が配せられていて、これも一興。

 そして、順路の最後の最後に、私の大好きな磁州窯の『白地黒掻落鵲文枕』。嬉しい~。幸せだよ~。2005年、出光の『中国・磁州窯―なごみと味わい―』展図録の表紙を飾ったのも、このカササギ(鵲)君だった。ふわりと逆立った頭の毛がキュート。

 さすが陶磁器の出光だなーと、悦に入り、久しぶりに陶片室を覗いてみる。ここの展示は、どのくらいの頻度で変わるのかな。絵唐津の巨大な陶片とか、楽しかった。

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