見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

2021年11月関西旅行:京都、大阪編

2021-11-08 09:07:38 | 行ったもの(美術館・見仏)

龍谷ミュージアム 秋季特別展『アジアの女神たち』(2021年9月18日~11月23日)

 豊穣・多産のシンボルとして、あるいは音楽・文芸・吉祥などを司る存在として、さらには残虐な戦闘のシンボルとして、多様な願いを託されたアジア各地の女神たちを紹介する。多様ではあるが、共通のイメージもあり、本来、オリジンが異なる神格が習合したり、変容したりする過程が面白かった。

 土偶・神像・絵画など、ずいぶん珍しいものを見ることができた。東大寺二月堂の参籠所食堂に安置されている訶梨帝母坐像(平安後期)は、しもぶくれの優しい顔で、衣のふところに赤子を抱く。京都・市比賣神社の女神像も静かな表情で裸の赤子を胸の前に抱いていた。絵画では、大阪・慶瑞寺の『鬼子母神掲鉢図』(明~清時代の図巻)や奈良博の『普賢十羅刹女像』(鎌倉時代、和装の十羅刹女)が珍しかった。美女図鑑みたいな図録はもちろん買ってきたが、前期展示の白鶴美術館の吉祥天像(南北朝時代)、滋賀・宝厳寺の弁才天像(室町時代、立って琵琶を弾く)も見たかったなあ。あと、インドの女神たちの美ボディに惚れ惚れする。

中之島香雪美術館 特別展『柳橋水車図の世界』(2021年10月2日~11月21日)

 香雪美術館が所蔵する『柳橋水車図屏風』と、柳橋水車図に繋がるさまざまな作品を取り上げる。私は関東の人間なので、この系統の作品で一番なじみ深いのは、出光美術館の『宇治橋柴舟図屏風』である。香雪美術館の『柳橋水車図屏風』は、出光で何度か見たことがあるが、黄金色の巨大な橋の存在感が圧倒的である。現在は黒ずんで墨書のように見える川波が、もとは銀色であったことが検証できたという。ほぼ金と銀だけで構成された画面だったわけだ。小さな蒔絵の工芸品ならあり得た光景を、一双屏風の大画面に拡大したような趣きだろうか。

 ほかに古風な『柳橋図屏風』(室町時代、個人蔵、一隻)と湯木美術館の『柳橋水車図』(桃山時代)、それに個人蔵のもの(桃山時代、一隻)が出ていたが、数量的にはちょっと物足りなかった。出光本もパネル展示だけだったし。

四天王寺宝物館 秋季名宝展・企画展『四天王寺聖教の世界』(2021年9月11日~11月7日)

 最終日の朝、文楽公演第1部を見る前に、慌ただしく四天王寺にお参りしてきた。四天王寺では聖徳太子1400年御聖忌慶讃大法会」が始まっており、2022年4月22日の結願までおよそ半年にわたり、さまざまな行事が続く。本展も、御聖忌記念事業の一環として行われた四天王寺聖教悉皆調査の成果の一部を紹介するものだ。

  四天王寺の歴史を物語る『四天王寺縁起』(展示は複製)などのほか、信仰あつい人々が奉納し、受け継がれて来たさまざまな聖教を展示する。奈良・平安・鎌倉時代に書写された古経が多数あった。訓点資料としても興味深いものだと思う。

 今年は1400年御聖忌の関係で、奈良博と東博で『聖徳太子と法隆寺』展を見たり、国立劇場で『天王寺舞楽』を見たりする機会があったので、少し興味をもって境内を歩いてきた。

 聖霊院は聖徳太子をお祀りするお堂。須弥壇の奥はよく見えなかったが、前殿に太子十六歳像・二歳像・四天王、奥殿に太子四十九歳像(秘仏)を祀る。扁額には「彰仁親王」の署名あり。戊辰戦争や西南戦争で活躍した小松宮彰仁親王だろうか。

 天王寺舞楽が行われる石舞台。なるほどここか! 後方の雄大なお堂は六時礼賛堂。前方の柱は、1400年御聖忌にあたって、聖徳太子とご縁を結ぶために建てられたもの。

 石舞台を挟んで、六時礼賛堂の正面に建つ小さなお堂が御供所。聖霊会では御供物を安置する。その左右の横長のお堂が楽舎で、左右の楽人が楽を奏する。向かって右側の楽舎は、ふだん、お札やお守りの授与所になっているのが面白かった。

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