見もの・読みもの日記

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アイスショー"Fantasy on Ice 2016 長野"

2016-06-27 23:18:16 | 行ったもの2(講演・公演)
Fantasy on Ice 2016 in 長野(2016年6月25日14:00~)

 アイスショーFaOI(ファンタジー・オン・アイス)、今年の最後の開催地である長野に行ってきた。茨城の自宅を朝9時前に出て、長野駅に11時半頃着。公演会場のビッグハットまでは、シャトルバスで運んでもらった。初体験の会場だったが、列の間がゆったりしていること、高低差があって前列の人の頭が邪魔にならないこと、音がいいことなど、全般的に好感を持った。席はSS席で、幕張より、かなりリンクに近かった。同じプログラムを見ても、幕張では全体を俯瞰する感じだったが、長野では、同じ平面で見ている感じがした。

 出演者は、織田信成、安藤美姫、鈴木明子、宮原知子。海外から、フェルナンデス、ランビエル、バトル、ウィアー、クーリック、ジュベール。フィリップ・キャンデロロはドクターストップを無視しての出演だったが、さすがに大技は封印していた。ペアのタチアナ・ボロソジャル&マキシム・トランコフ、アイスダンスのアンナ・カッペリーニ&ルカ・ラノッテ。エアリアルはいつものチェスナ夫妻と、フープ(輪)を使うマリーピエール・ルレ。あと、いつものアクロバット。

 幕張でキラキラしていた日本人若手女子3人組が不在の代わりに、1998年、長野オリンピックのメダリスト、キャンデロロとクーリックが加わるなど、大人の雰囲気が濃かった。アーティストも同様で、CHEMISTRYの川畑要さん、三味線の吉田兄弟、オペラ・シンガーの鈴木慶江さん、そして全公演に出演したピアニストの福間洸太朗さんという顔ぶれ。

 オープニングは、いつもの音楽で始まり、まだスケーターが氷上に残っている状態で暗転、と思ったら、すかさず舞台に吉田兄弟が登場し、軽快な三味線の演奏(rising)に乗って群舞が続く。全員でくるくる円を描くところが好き。中心はもちろんランビエール。黒と金に赤や紫を配した「お祭り」衣装もみんな似合っていた。このあと、吉田兄弟は織田くんと「Storm」、フェルナンデスとオリジナル曲「バルセロナ」でもコラボ。この企画は今年の殊勲賞ものだと思う。

 ボロソジャル&トランコフの「ボリウッド」は、2014年のFaOIでジョニーが使ったインド風の曲。カッペリーニ&ラノッテのコミカルなタンゴ(アンナさんの扮装w)も楽しかった。日本人も、ペアやアイスダンスで世界に愛されるスケーターがもっと出ないかなあ。

 後半冒頭に登場した宮原知子ちゃんは、ランビエール振付の新エキシ「ヘルナンドスハイダウェイ」。氷上の照明が明るくなると、地味な衣装のランビエールを従えて立っていたので、ヘンな声が出そうになった。口紅を仕舞ったバッグを渡されると、無言でランビエールは去っていく。身体の使い方がやわらかくて、大人っぽく色っぽいプロ。新境地を開く、いいプロをもらったなあ~と思った。

 ジョニー・ウィアーは幕張と同じ2プロ。赤衣装のビヨンセメドレーは会場大盛り上がり。日本の観客に愛されてるなあと思った。ジュベールは前半が川畑要さんとの軽やかでイケメンなコラボ。後半は、2015年のパリ同時多発テロに捧げる怒りと悲しみの追悼プロ。実は開演前に買ったプログラムで、赤く汚れたTシャツ、ぼろぼろのシャツ姿の写真を見て、なんだこの衣装は?と苦笑していたら、こういうことだった。途中、銃撃を思わせる赤い閃光の演出や、苦悶する演技もある。アイスショーも芸術だから、こういう社会的あるいは政治的メッセージが入り込むことに何ら不思議はない。素晴らしいものを見せてもらった。

 しかし、何と言っても圧巻はステファン・ランビエール。前半は幕張と同じ「Take me to church」。後半は、直前がフェルナンデスの「マラゲーニャ」、もうひとつ前が安藤美姫の同じ曲「マラゲーニャ」だったのだが、二人とも最後を失敗して、苦笑いしながらの退場だった。その直後に公演の大トリで登場。神戸公演の情報で、ラヴェルの「ラ・ヴァルス」を、福間洸太朗さんのピアノ生演奏で滑るということは聞いていたのだが、いったいどんなプログラムになるのか、たちまち緊張が高まる。

 そして、すごいものを見せてもらった。スケートとしてどうなのかよく分からないが、何度も止まりながら、ためらいがちに前に進んでいく、その止まり方と、再び動き出すときの所作の(身体の)美しさがたまらなかった。スピンとかジャンプとか、部分的な「技」に拍手するのを忘れて、美しさに酔い続けた。でも、最後のジャンプが決まったとき、小さくガッツポーズをしてたけど。クライマックスは、氷上に倒れて、暗転。その横たわる影さえ美しかった。フィナーレの一芸大会でも連日4Tを跳ぶなど、調子がよさそうで嬉しかった。ぜひ来年もまた、ランビエール&福間さんのコラボが見たい。どんどん期待が高くなっていくけど、お二人ならそれを難なくクリアしてくれそう。

 来年は、羽生くんにも戻ってきてほしい(長野会場ではビデオメッセージあり)。海外のレジェンドスケーターが中心となる大人のアイスショーもいいけど、現役選手が中心となるショーも華やかでいいのだ。
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