見もの・読みもの日記

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民藝のゆるキャラ/動物文様の工芸と絵画(日本民藝館)

2015-08-08 23:57:46 | 行ったもの(美術館・見仏)
日本民藝館 特別展『動物文様の工芸と絵画』(2015年6月30日~8月23日)

 「動物」に着目した展覧会は、最近、全国各地、さまざまな美術館・博物館で企画されている。強く私の記憶に残っているのは、2011年、京都国立博物館の『百獣の楽園-美術にすむ動物たち-』。さすが京博で、格調高い名家の作品が多かった。それに比べると、こちらはゆるい。矢島新先生名づけるところの「素朴絵」にたくさん会えて、楽しかった。

 まず2階の大展示室で気になったのは大津絵。『天狗と象』(18世紀)は初めて見たなあ。白象ではなく、薄墨色の象だった。ほかに「猫と鼠」とか「狐と馬」とか、大津絵には二種類の動物(生物)を組み合わせたモチーフが多いかもしれない。丹緑本の『熊野の本地』はものすごく色がきれい。縞模様の夕焼け空(?)を背景に、縞模様の虎と斑模様の豹が並んでいる。ひっそりうずくまった沖縄の屋根獅子(シーサー)は、20世紀・昭和の作品だというが、時代や歴史と無関係に面白い。

 2階の各室は、日本・中国・朝鮮絵画から動物モチーフの作品がたくさん出ていた。李厳筆『花下遊狗図』(朝鮮時代)など。イヌと鷹が多いが、水墨の『猫蝶図』もかわいい。『蘇鉄雄鶏図』(朝鮮時代・16世紀)は若冲の劣化コピーみたいに感じるが、こっちのほうが古いのだな。日本の絵画では、室町時代の『調馬図』の断簡が各種出ていた。『厩図屏風』も。イギリスのスリップウェア、スペインのラスター彩など、西洋の動物絵皿も面白かった。バーナードリーチ作の『熊文皿』がゆるキャラっぽくて笑った。

 1階の併設展示「硝子工と金工」では、ちょっと珍しいものを見た。西洋の扉付き祭壇のような、上部が丸くふくらんだ形の二曲一双の『文房図屏風』。「伝江戸時代 司馬江漢筆 朝鮮時代」という、よく分からない解説がついていた。金地を背景に大きく書棚を描いていて、帙入り線装本や筆立、水注、茶器などがほぼ原寸大で描かれている。棚の奥(背景)はブルーで、配色が西洋の宗教画っぽい。陰影も描かれている。

 最後にミュージアムショップを覗いたら、珍しく特別展の図録を売っていた。民藝館のコレクションには好きな作品がたくさんあるのだが、これまで写真等を所蔵することができなかったので、嬉しい。水滴や泥人形などの小品は、写真で見ると、あ、こんな顔をしていたのか、と微笑みたくなるものもある。久しぶりに西館(旧柳宗悦邸)も見学して帰った。
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