CD番号 CCー1061
収録年 1959年
ジャンル 管弦楽曲
題 名 アルルの女(第一組曲、第二組曲)
作曲者 ジョルジュ・ビゼー(1838年~1875年:フランス)
指揮者 イーゴリ・マルケヴィッチ
演 奏 コンセルト・ラムルー管弦楽団
演奏時間 29分37秒
作曲家ビゼーは、生前あまり評価されることなく37歳で病死したが、わずか9歳でパリ音楽院に入学を許されるという豊かな才能に恵まれていた。
死後になってやっと高く評価され「カルメン」、「アルルの女」が代表作として知られるが、これらの作品からは美しいメロディとともに豊かな色彩で彩られた油絵を思わせるような表現が満ち溢れており、たしかに並々ならぬ才能を感じさせる。
「アルルの女」はドーデの戯曲の上演に際して伴奏音楽として書かれたもので、物語のあらすじは、南フランス、プロヴァンス地方のアルルという小さな町で富裕な農家の総領息子が美しいが邪な女性に恋をするが、結局想いがかなわず高い塔から身を投げて自殺するという悲劇的な展開で終わる。
ビゼーは、この戯曲のために長短27曲を書いたが、後に第一、第二組曲として4曲づつ再編成した。
この曲は学生時代からよく聴いていて、フルートやオーボエ、サキソフォンなど多彩な管楽器が織りなす南フランスの牧歌的な雰囲気と美しいメロディが気に入って大の愛聴盤だった。
そのときのレコード盤(兄が所有)は指揮者がオッテルローという名前だったが、名演かどうかは別にして耳に完全に馴染んでいたので、CDの時代になってこの指揮者のCD盤を求めたが、これまでとうとう発売されずじまいだった。
仕方がないので、マルケヴィッチ、クリュイタンス、オーマンディの指揮のものを購入してこれまで聴いてきた。この中で今のところはマルケヴィッチ盤をよく聴いている。
この盤の特徴はまずキビキビしていて歯切れがよく爽快な印象を受ける。指揮者のリズム感がよく反映されているが、それでいて十分抒情性もある。また、第二組曲のファランドールは色彩感が豊かで南フランスの牧歌的な雰囲気が好きだ。
クリュイタンス盤はややテンポをゆっくりとって牧歌的な味わいを大切にした印象で、澄んだ弦合奏と管楽器の余韻たっぷりの演奏は当時のパリ音楽院の実力を知らしめるが、私にとってはテンポがゆっくりしすぎて、まどろっこしさを感じる。最近はあまり聴かない。
オーマンディ盤は本格的なオーケストラ(フィラデルフィア管弦楽団)の弦合奏の厚み、管楽器の多彩さはひときわ雄大なスケールを感じさせるが、まるでシンフォニーを聴いているようで、「鶏の肉を牛刀で割く」感じで、大げさすぎてこの曲のローカルなイメージには合わないように思う。
また、この魅力的な曲はいろんな指揮者の意欲をそそるのだろうか、少し挙げてみるだけでも、カラヤン、デュトワ、テラコート、バーンスタイン、レークナー、クラーク、バジール、ケーゲル、ミュンフン、マゼール、プラッソンなど実に多彩である。
これだけあれば全部聴くのが大変だが、オペラなどと違って歌手の不具合も生じないので演奏の差はそれほど出ないような気がする。
マルケヴィッチ盤 クリュイタンス盤 オーマンディ盤