「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

秘儀~真空管の電極叩き~

2016年03月13日 | オーディオ談義

オーディオ仲間との物々交換で手に入れた整流管「180」。

なにしろ稀少管として有名なARCTURUS社(アメリカ)の青球なので喜び勇んでアンプに挿し込んだところ残念なことにフィラメントが点灯しない。

         

1920年代の球なので経年劣化によるハンダの不良だろう。しかもプレートの形状をよくみるとかなり傾いている。これはいつものように「北国の真空管博士」(以下「博士」)にすがるしかない(笑)。

さっそく、ご了解を得てから送付したところ次のような速報が入ってきた。
 

「Arcturus180復活しました。やはり半田不良でした。引き出し線の先端が酸化していましたのでクリーニングして再半田しました。状態は廃棄値すれすれですが、エージングで多少は改善するかもしれません。電極が大きく拉げてフィラメントが変形し、将来的にプレートとショートする可能性があったので秘技「電極叩き」を行い正常位置に戻しました。」

いやあ、ありがとうございました。そして当然のごとく「秘儀~電極叩き~って何ですか?」とお訊ねしたところ、次のような回答が戻ってきた。

「実は私はユリゲラー並みの超能力者なのですよ!というのは嘘ですが、古来真空管マニアの間で秘儀とされる電極叩きという技です。中の電極をどの方向にどれだけ曲げるか見当を付けた後、破損防止に真空管にタオルを巻きつけて強くもなく緩くもなく片方の手で固定します。気合を込めてもう片方の手で衝撃を加えることにより電極を正常位置に戻します。
 
この方法による電極の修正には限界がありますので程々のところで良しとしないと球の破損につながります。180のプレートの曲がりこそプレートとグリッドがショートしそうになった原因ですので、なんとしても曲がりを直す必要がありました。電極叩きは、元々不動球ゆえ実施できた荒業なのです。今回は非常にうまくゆきました。知らない人が見れば激しくプレートが曲がっていたことなど分からないでしょう。」

恐れ入りました。降参です!

もう一つ。

この電極の曲がりに関して博士から次のようなアドバイスがあった。

「球販売店で直熱管を寝せて陳列しているのを見たことがあると思いますが、私などはゾッとします。運搬は勿論ですが、保管も縦置きが基本です。重力でフィラメントが変形し電極タッチやマイクロフォニックノイズの原因になります。寝かせて陳列保管している販売店は古典球の知識に乏しいと見て間違いないでしょう。」

 ウヒャッ!我が家では寝かしてある真空管がほとんどだ。すぐに100円ショップに走って紙コップと容れ物を買い求めて次のように縦置きに変身。
            

これでひと安心(笑)。
 

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