「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

オペラ「魔笛」への思い入れ

2019年02月01日 | 復刻シリーズ

今日から早くも2月の暦に入った。新年になってもう1か月が過ぎたことになる。「1月行く、2月逃げる、3月去る」だから待望の春までもう一息(笑)。

午前中の運動ジム通いもすっかり板についてきて、今や心身ともにすこぶる快調だが、ジムで顔見知りになった方が「しんどくてたまらんけど週3日ぐらい来てます。」と、仰るので「私は毎日仕事に行くつもりで来ています。」と、返すと「そうですね。仕事と思えば楽ですね。」

ただし、仕事は仕事でも無報酬というのがちと面白くないが(笑)。

このブログも始めてから12年余りが経ち、すっかり仕事の一部と化している。

今年の正月に帰省した娘が「お父さんに万一のことがあったときにブログをどうしようか・・」と、ポツリとつぶやいたので「姿かたちの見えないデジタル遺産なんて更新しないとどうせ忘れ去られるだけなので、いっそのこと一気に全部消去してくれた方がスッキリするなあ。」

過去記事にはいっさい未練がないが、つい先日のランキングに、珍しく12年前に搭載した「オペラ魔笛への思い入れ」が登場していた。


読み直してみると、このブログを始めたころは我ながら「熱心な音楽ファン」だったんだなあと、つい感慨にふけってしまった。

そこで、往時の自分の「音楽愛好家としての貌」を知っていただくために、あつかましくも再掲させてもらうことにしたのでどうか悪しからず(笑)。

それでは以下のとおり。

オーディオ仲間のMさんはジャズやポピュラーを聴かない生粋のクラシック・ファンだが、主なレパートリーはバッハなどのいわゆる正統派で、オペラについては、まずもって歌詞の意味を把握できないということで、これまでずっと敬遠されてきたご様子。

それでも、自分の熱意に根負けされたのだろう、「魔笛」のサバリッシュ指揮1972年盤を先日購入されたとのことで、早速、電話で試聴後の感想をお尋ねしたところ、「”何だか盛り上がりのないオペラ”との第一印象を受けた」との率直なお答え。

”天国的な名曲ばかりで素晴らしかった”との感想を期待していた自分は思わず肩透かしをくらった思いがしたが、何回も聴けばその良さが分るでしょうと申し上げる一方でMさんほどのクラシックの素養がある方でも”馴染みにくさ”とはあるものだなと改めて思った。

自分は魔笛の世界に入り込みすぎているので、初めて聴く人がどのような感想を洩らされるのか客観的なコメントに大いに興味があるところだが、やはり、残念なことにこの作品は一度聴いて簡単に好きになれるほどの万人向きではないとの感を一層強くした。

しかし、実をいうと、Mさんがいう”盛り上がりのないオペラ”という感想は約35年前に自分が魔笛を最初に聴いたときがそうだったからよく共感できるのである。

初めの印象がそういうことだったので、良さがすっかり分らず、以後月日が経ってこれほどまでに自分がのめり込む状況になるとは想像だにできなかった。

以前にも書いたことがあるが、音楽は一度聴いて好きになる曲と何回も聴いて好きになる曲と二通りある。魔笛は確実に後者だと思うし、通常モーツァルトの後半期の音楽は当時の聴衆にとっても分りにくかったとされている。

自分の見方では魔笛という音楽は正面から身構えるとスルリと逃げられてしまう印象が強い。なにせ2時間30分の長大なオペラだから、よほどの人でない限り、嫌いにはならないまでも、退屈感を覚えるはず。

おそらく初打席の打率でいえば1割(10人に1人)ぐらい気に入る人がいれば上出来ではなかろうか。

ここで初心に立ち返って「魔笛のいったいどこがそんなにいいの?」という問いに答えるのはそう容易なことではない。

あえて言わせてもらえれば全編を通じて「どこまでも澄み切った秋の青空のような透明感のもとで喜びや悲しみ、はかなさが微妙に入り混じった独特の音楽が展開されていく。」としか言いようがない。

抽象的な表現しかできないのが残念。


「個人にとって本質的なものに出会うためには固有の道筋がある」(「音楽との対話」粟津則雄氏著、176頁)というのが音楽鑑賞の常道とは思うのだが、このブログをきっかけに魔笛を一度聴いてみようかと思われる方が万一いるかもしれないので、あえて留意してほしいポイントを羅列すると次のとおり。(余計なお世話かもしれないが・・・)

 名曲には違いないがやはり指揮者、歌手たちによってかなり完成度が違う。慎重に盤を選択して一流の演奏から入って欲しい。

※小林秀雄氏の「作家志願者への助言」にはこうある。

「質屋(現代風には骨董屋)の主人が小僧(従業員)の鑑賞眼教育をする時に、まず一流品ばかりを毎日見せることから始めるという、一流のものを見慣れると二流、三流はすぐ分る。この直感的な尺度が後年いちばんものをいう。しかし、二流、三流から入ると一流は分らない」

 はじめから全体を好きになろうと期待しない方がいい。どこか一箇所でも耳に残る旋律や、あるところの転調がもたらす感触などが気に入ると、それが糸口になって段々と全体が好きになるもの

 なるべく始めは友人、知人から借りる、公共施設で聴くのがいい。(金銭の負担がプレッシャーにならないという意味合いであり、お金が有り余っている人は別)。

といったところだろうか。

とにかく、魔笛に親しむコツ(クラシック音楽全般にも共通するが)としてはどんな形であれ何回も聴くことが全てという気がする。

肩のこらないBGM風に聞き流すことからの出発でもよく、たとえば本を読みながら、あるいはクルマを運転しながら、イヤホンで運動しながらでも聴く。

少々くどいようだが、この作品がレパートリーに入るとモーツァルト観が一変しますよ。

「ほんとうのモーツァルト・ファンはオペラ好きに圧倒的に多い」と何かの本に書かれていたが、食わず嫌いで放っておくに
は絶対に惜しい作品と口を大にして叫びたいほどだ。ぜひ・・・。

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